日本とイギリスが米軍アフガン撤退後に担う役割

ユーラシア大陸をめぐる「新グレート・ゲーム」

歴史的に俯瞰すると、アフガニスタンはそのような大陸国家と海洋国家がせめぎ合う中での緩衝地帯に位置する。ランドパワーとシーパワーの交錯する最前線が、アフガニスタンであった。そのような地政学的な対立の中で、19世紀には2度のアフガニスタン戦争でイギリス帝国が、そして1979年に始まるアフガニスタン戦争ではソ連という帝国が、その「力の空白」を埋めようと侵攻作戦を展開し挫折を経験した。

そして、イギリス帝国とソ連帝国に続き、21世紀に入るとアメリカもまたこの「帝国の墓場」とも言われるアフガニスタンへと侵攻し、困難に直面し、撤退した。アメリカがこの「帝国の墓場」での挫折を機に衰退し、ユーラシア大陸の中央部の「力の真空」を埋めようと中国が勢力圏を拡大することになれば、米中対立の構造にも大きな影響を及ぼすであろう。そのことは、アジアにおけるアメリカの最も重要な同盟国である日本にとっても懸念すべきことである。

「新グレート・ゲーム」における日英安保協力

2001年10月に、アメリカがアフガニスタンに対する侵攻作戦を開始したのは、それまでの帝国主義的な動機による大国の侵略とは異なり、グローバルな対テロ戦争(Global War on Terror; GWOT)の一環としてであった。そしてそのようなグローバルな対テロ戦争において、アメリカの同盟国としてイギリスや日本も一定の役割を担うことになった。

9.11テロ事件の悲劇を経験して、再び国際テロリズムの標的となることがないように、アフガニスタンを拠点としたアル・カーイダに打撃を与えること、そしてそのテロリストたちの訓練キャンプを撲滅させることが、このとき国際社会で幅広く得られたコンセンサスであった。

だとすれば、2011年にそのテロの首謀者ウサマ・ビン・ラーディンの殺害に成功したことで、本来の重要な目的は達成したということもできたはずだ。しかしながらアメリカ政府はこのときに、むしろアメリカ軍を増派させることでアフガニスタンの国家建設に深く関与するようになっていく。

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