傲岸なメディア人に陥らない為に確認したい道標 ジャーナリズムという「いかがわしい」世界の中で
原器
(『サンデー毎日』2021年6月6日号より)
フランスの首都パリ近郊にあった地下金庫にはかつて、超精密な1キログラムの分銅が厳重な施錠下で保管されていた。白金イリジウム合金製だというその分銅は、1889年から130年近くも質量の単位=重さの基準として世界に君臨してきた国際キログラム原器。これを通称で「ル・グランK」と呼ぶことは、毎日新聞で科学分野を長く担当する青野由利・専門編集委員が何年か前に書いたコラムで教えられた。
重さの基準としてル・グランKことキログラム原器があれば、長さの基準にも金属製人工物のメートル原器があった。だが、メートル原器はずいぶん前に光の速度で再定義され、キログラム原器も2019年にやはり物理定数に取って代わられ、人工物としての原器はいずれもその役割を終えた。



















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