ウマ娘「1000万ダウンロード達成した」魅力の神髄 サイレンススズカが天皇賞を勝つ「涙のIF」も

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そして僕にとって嬉しいのは、登場するウマ娘たちのボリュームゾーンが、1990年代前後に活躍した「競馬ブーム」の際の馬であるということだ。

ゴールドシップなど近年活躍したウマ娘もいるが、オグリキャップ、メジロマックイーン、トウカイテイオー、ミホノブルボン、ライスシャワー、ナリタブライアンなどなど、それほど競馬が好きでない僕でも知っている名前が揃っているので、40〜50代のユーザーは入りやすいだろう。

1990年代に競馬の一大ブームがあった。地方競馬から中央競馬に移籍して活躍したオグリキャップが大人気になったのをきっかけに、一般の若い男女が競馬場に訪れるまでになった。オグリの引退レースとなった第35回有馬記念には177000人もの観客が詰めかけ、身動きも取れないほどだったという。

育成モードでノルマとして設定されるレースは元ネタの馬たちが辿ったストーリーとなっている。若いユーザーの中には、ウマ娘から元になったレースの動画などを見て、競馬界で起きた様々なエピソードを知る人も多いようだ。

僕などは、サイレンススズカを秋の天皇賞で優勝させてあげることができたときには、ちょっとうるっときてしまった。

競馬業界にも好影響

ウマ娘は実際の競馬にも好影響を与えているようだ。ウマ娘で競馬を知った人が実際の競馬場を訪れてみたり、過去のレースに興味を持ったりという話はよく聞く。

ニュースにもなったが、NPO法人「引退馬協会」がウマ娘にも登場するナイスネイチャの誕生日に、引退馬の生活支援のための寄付を募ったところ、当初の200万円の目標を大きく超える、3500万円以上もの寄付が行われた。寄付はナイスネイチャをはじめとした、引退馬の余生のために使われるという。

一通りプレイしたが、育成自体はストーリーやイベントを楽しみながらじっくり進めるもよし、因子目当てでガンガンスキップするもよしで、ボリュームがありながらもサクサク進んでいく印象。

最初のうちこそ途中で育成終了になってしまったが、ある程度育て方が分かっていくと、なんとか最後まで育てきることができるので、対人戦で勝とうと思わなければ無課金でも十分に楽しめる。

他にもウマ娘たちのメインストーリーや、個別ストーリーなど、見るだけでも楽しめるコンテンツもてんこ盛りで、むしろ「何からすればいいのか」と困るくらいの楽しい作品であった。

赤木 智弘 フリーライター

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あかぎ ともひろ / Tomohiro Akagi

1975年栃木県生まれ。2007年にフリーターとして働きながら『論座』に「『丸山眞男』をひっぱたきたい――31歳、フリーター。希望は、戦争。」を執筆し、話題を呼ぶ。以後、貧困問題などをテーマに執筆。主な著書に『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』などがある。

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