そこで、年間平均賃金額について、2000年に対する2020年の比率を見ると、つぎのとおりだ。
韓国は1.45倍と非常に高い値だ。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスは、1.2倍程度だ。
ところが、日本は1.02でしかない。つまり、この20年間に、実質賃金がほとんど上昇しなかったのだ。
実質賃金が上がらず、かつ円安になったために、ビッグマック指数で見た日本の地位が低下したのだ。
アベノミクスの本質:労働者を貧しくして株価上昇
日本の賃金が国際的に見て大幅に低い状況は、本来は不均状態とはいえない。
なぜなら、もしマーケットが正常に機能していれば、日本製品の価格が安いのだから、日本の輸出が増え、円高になるはずだからだ。
この調整過程は、現在の上記の不均衡がなくなるまで続くはずだ。
しかし、円高になると、輸出の有利性は減殺される。本来は、円高を支えるために、企業が技術革新を行い、生産性を引き上げねばならない。
それが大変なので、円安を求めたのである。
手術をせずに、痛み止めの麻薬に頼ったようなものだ。
このため、日本の実質賃金は上昇しなかったのだ。
物価が上がらないのが問題なのではなく、実質賃金が上がらなかったことが問題なのだ。
賃金が上がらず、しかも円安になったために、日本の労働者は国際的に見て貧しくなった。
日本の企業が目覚ましい技術革新もなしに利益を上げられ、株価が上がったのは、日本の労働者を貧しくしたからだ。
これこそが、アベノミクスの本質だ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら