日本人の賃金が国際的に低いという状態は、昔からそうだったのだろうか?
アベノミクスが始まる前の2010年がどうだったかを、ビックマックの2010年の価格(ドル換算値)で見ると、つぎのとおりだ。
日本は3.91ドルで、アメリカの3.71ドルやイギリスの3.63ドルより高かった。
日本より高かったのは、スイス、ブラジル、ユーロ圏、カナダだけだった。
韓国は3.03ドルで、日本より低かった。
この時には日本のビッグマック価格がこれだけ高かったのに、いまは低くなってしまったわけだ。
つまり、日本人は、国際的に見て、アベノミクスの期間に急速に貧しくなってしまったことになる。
日本の実質賃金は伸びなかった
なぜ日本は急速に貧しくなったのだろうか?
それを見るために、OECDの年間平均賃金額データで2010年の値を見ると、つぎのとおりだ。
日本の値は3万8085ドルで、アメリカの6万1048ドルよりかなり低い。
またイギリスの4万6863ドル、ドイツの4万7054ドル、フランスの4万4325ドルなどに比べても低い。また韓国の値は3万6140ドルであり、日本と大差がない。
このように、2010年においては、OECDの数字とビッグマック指数がかなり異なる状況を表している。
こうなる理由は、つぎのとおりだ。
上で述べたように、OECDの数字は、2020年を基準とする購買力平価によって各国を比較している。
ところが、2010年は円高だった。しかし、2020年基準購買力平価では、2020年と同じ購買力にするように為替レートを調整するので、2010年の現実の為替レートよりは円安のレートで比較しているのだ。
したがって、日本の賃金は、国際比較で低く評価されることになる。
このようなデータを算出しているのはなぜか?
それは、為替レート変動の影響を取り除いて、その国の実質賃金が時間的にどのように変化したかを見るためだ。
2020年購買力平価で計算した数字を時系列的に見れば、各国通貨表示で見た実質賃金の推移を表わしていることになる。
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