ジェネリック薬「どれも一緒」と考える人の大誤解 患者が積極的にメーカーを指定する時代が来る

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結局のところ、患者さんにはジェネリック医薬品の選択にももっと積極的に参加してもらうことが必要になります。今まで製薬メーカーの選択は、医師または薬局の薬剤師に任されてきました。そして、ジェネリック医薬品の販売が伸びたのも、薬局や医療機関に対してジェネリック医薬品を出すことにインセンティブを与えてきたためでもあります。

今後は、院外薬局でたまたま在庫のあるジェネリック医薬品をもらうのではなく、患者さんに製薬メーカーの選択に積極的に参加してもらう時代が来ると思います。患者さんは、どのジェネリック薬品のメーカーのものにして欲しいとか、今までと同じメーカーのものにして欲しいなど、ジェネリック医薬品のメーカーを指定する権利を行使することになるでしょう。

先発薬からジェネリック医薬品にスイッチしたときには、その効果や安全性について、医師だけでなく患者さんも意識的になるべきだと思います。つまり、自覚症状のあるものでは、その変化により患者さんは効果を判定できます。血圧の薬であれば、家庭での血圧測定によりその効果をモニターできます。患者さん自身ではその効果をモニターできないものであれば、診療所での検査でその効果を確かめることが必要となります。

薬によっては、その血中濃度を測定したり、その効果の指標を測定したりすることもあるのです。スイッチ後の再診までの期間は短くした方がよいでしょう。そして、効果だけでなく安全性についても、医師も患者も切り替え当初には特に慎重になるべきなのです。

ジェネリック医薬品を使うことが普通の時代となったからこそ、その使用について、医療者も患者も、より慎重にならなくてはならないのです。

(1)Manzoli L, Flacco ME, Boccia S.et al. Generic versus brand-name drugs used in cardiovascular diseases.Eur J Epidemiol. 2016 Apr;31(4):351-68.
(2)Holtkamp M, Theodore WH. Generic antiepileptic drugs-Safe or harmful in patients with epilepsy? Epilepsia. 2018 Jul;59(7):1273-1281.
(3)Y Tony Yang, Sumimasa Nagai Generic oncology drugs: are they all safe? Lancet Oncol. 2016 Nov;17(11):e493-e501.
(4)Tamargo J, Le Heuzey JY, Mabo P  Narrow therapeutic index drugs: a clinical pharmacological consideration to flecainide. European Journal of Clinical Pharmacology, 15 Apr 2015, 71(5):549-567
(5)Tsipotis E. Gupta N.R. et al. Bioavailability, Efficacy and Safety of Generic Immunosuppressive Drugs for Kidney Transplantation: A Systematic Review and Meta-Analysis  Am J Nephrol 2016;44:206-218
(6) R Gauzit, M Lakdhari Generic antibiotic drugs: is effectiveness guaranteed?  Med Mal Infect. 2012 Apr;42(4):141-
 
加藤 眞三 慶應義塾大学看護医療学部教授

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かとう しんぞう / Shinzo Kato

1956年生まれ。1980年に慶應義塾大学医学部卒業。1985年に同大学大学院医学研究科博士課程単位取得退学(医学博士)。米国マウントサイナイ医学部研究員、 東京都立広尾病院の内科医長、内視鏡科科長、慶應義塾大学医学部・内科学専任講師(消化器内科)などを経て、 2005年より現職。著書に『患者の生き方』『患者の力』(ともに春秋社)などがある。毎月、公開講座「患者学」を開催している。
 

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