ジェネリック薬「どれも一緒」と考える人の大誤解 患者が積極的にメーカーを指定する時代が来る
さらに、腎移植後に使われる免疫抑制剤では、すべてのジェネリック医薬品が、先発品と同等の相対的生物学的同等性を有するわけでなく、有効性と安全性に関するエビデンスは決定的でないと報告されています。そして、治療指数が小さい薬品においては、ジェネリック医薬品の承認に、より厳しい規制要件が必要と結論とされています(注5)。
抗生物質でも治療指数が小さいものでは、生物学的同等性に問題があると報告されています。有効性の評価で、抗生物質によって結果に大きなばらつきがあり、同じ成分の抗生物質であっても、すべてのジェネリック医薬品が同等ではないのです。薬剤成分、不純物のレベルなど、あらゆるレベルで違いがあることが報告されています(注6)。
このように、今回の二つの事件のような、単に製造工程の間違いや管理の不良から起きる問題だけではなく、治療指数の小さい薬品でのジェネリック医薬品の使用には根本的に慎重さが求められているのです。
ジェネリック医薬品との付き合い方
ジェネリック医薬品は、慢性病の時代、高齢化社会での医療費の抑制のために必要不可欠なものであるとわたしは考えています。そのために、ジェネリック医薬品の有効性と安全性に対する不安を払拭させていかなければなりません。
一番大切なことは、製薬メーカーが体制を整えることにより市場に出ているジェネリック医薬品が全て安全・安心なものすることです。しかし、そうなっていない現実があるから、その対処を考えておかなければいけません。
そこで、大切になるのが、監督官庁の厳しい査察です。これがなければ、ジェネリック医薬品の安全性は確保できないのです。
次に、医師が薬剤を処方するときに注意が必要となります。処方箋上で単にジェネリック医薬品でもよしとしてしまえば、ジェネリック医薬品の中で、どのメーカーの製品が患者の手に渡るのかが解りません。患者さんが訪れた院外薬局にたまたま備えられているメーカーの製品が出される可能性が高いのです。同じ院外薬局で会っても、今月と先月では違うメーカーの製品になっているかもしれないのです。
その対処としては、ジェネリック医薬品の中で、「品質が信頼できるメーカー」、「患者が今まで継続して使用している製品」をと指定することができます。今後は、そのような自衛策を考えなければいけないのかも知れません。
「○○メーカーのジェネリック医薬品の信頼性が高い」といった情報を患者さんに届けることも必要かも知れませんが、そんな情報を実は誰ももっていないのです。今回のような事件が起きてしまうと、大きい会社や歴史のある会社が安全とは言い切れず、どのジェネリック医薬品メーカーが信頼できるのかは誰も確かなことは言えなくなってしまいます。
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