新型シビック「6速MT」をホンダが“推す"理由 大衆車からスペシャリティへと変わるイメージ

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仕向け地別でデザインやボディ形状が違うなど、シビックの商品性が大きく変わっているのだが、日本人の多くは今でも、「シビックは大衆車だ」という“刷り込み”がある。そんな刷り込みを持っている人たちは、街で最近のモデルを見かけると「これがシビックなのか……」と驚く。

また、ミニバンとSUVシフトが急激に進む日本では、シビックというモデル名が約7年間消滅していたことや、2020年に10代目セダンがハッチバックに先立ち販売終了になったこともあり、シビックは希少な存在となっているという現実もある。

歴代シビックの説明資料。7代目までをベーシックカー、8代目からをミドルカーとしている(筆者撮影)

一方で、シビックが辿ってきた経緯にこだわらず、素直に「シビック=カッコいいスペシャリティカー」という見方をする人たちもいる。

タイプRという究極のスポーツモデルに憧れるだけではなく、カッコよく魅力あるクルマとしてシビックを捉えている人も多いのだ。先代モデルでは、古くからシビックの名に親しんでいる40~50代のほか、20代の若いユーザーやファンも増えた。

そのうえで特徴的なのが、MT比率の高さだ。タイプRを除いても、MT比率が3割にも達している。こうした販売実績を踏まえれば、11代目にも6MTを設定するのは、当然の判断だ。11代目の初期受注では、MT比率が4割近いという。

価格設定にも表れるシビックの戦略

グローバルでは、新型シビックにはセダンとハッチバックの2つのボディ形状があり、アメリカではエントリーモデルの2.0リッター車が2万1700ドル(約237万円)からとリーズナブルな設定だ。

対して日本仕様は、スポーティなハッチバックでターボ、しかも6MT推しで価格も300万円台の前半から半ばに設定することで「カッコいいクルマ」としての存在感を際立たせたといえる。

さらに、2022年にはハイブリッドの「e:HEV」とタイプRが登場することで、日本での新世代シビックファンの獲得を狙うようだ。2分しているシビックのイメージは、徐々に変化していくことだろう。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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