三宅:自分自身が子どもの頃、先生に褒められてうれしかったとか、そういう原体験をしたのでしょうか?
佐藤:自分が褒められた経験の話ではありませんが、印象的なことで記憶に残っていることが2つあります。ひとつ目は小学生のとき。人の話はよく聞かなきゃいけないと痛感させられた事件があります。小学校低学年くらいまでの私はでしゃばりで、人の話にすぐ口を出すほうだったんですよ。ある日、担任の先生が、誰かほかの人と話しているときに、私が横から口を出したんですね。そうしたら先生が私に向かって、「土瓶!」って言ったんですよ。
三宅:えっ、ドビン?
佐藤:そう、土瓶。土瓶って横から口が出てるじゃないですか。そう言われて、私子供心にすごく傷ついたんです。でも「ああ、自分本位で話していると、それをイヤだと思う人もいるんだな」と気がついたんですよね。
2つ目は中学のとき。当時は公立学校が荒れていた時代で、私が通っていた中学校にもいわゆるツッパリとか不良と呼ばれる生徒がいたんですね。
それでそういう子たちを見ていると、先生にはすごく反抗的なのに、スクールカウンセラーの先生にはまったく別の顔を見せるのです。カウンセラーの先生は、50歳くらいのすごく包容力のある男性でした。不良の子たちは普段は先生から「静かにしろ!」と、それこそ北風マネジメントをされて、「うるせえ」なんて反発している。ところがカウンセラーの先生の前では、本当に素直になって心を開いているんですよね。カウンセラーの先生も生徒たちからいろいろな話を引き出している。その姿が今でもすごく印象に残っていますね。
三宅:なるほど、なんだか腑に落ちました。その頃から全体をよく見ていたのですね。では最後に、より若い人に向けたアドバイスをいただけますか。
佐藤:自分を少しストレッチする仕事にチャレンジするといいと思います。「これなら無理せずできる」という範囲内で仕事を終えていると、それ以上のものは生まれないので。
私の場合、前回お話した「超ビジ」の開発はすごく難しくて、プレッシャーのかかる仕事でした。東京海上と日動火災の合併前の共同開発商品ということで、何があっても期限を延ばすことはできない。それなのに遅々として進まなくて、もう会社のエレベーターホールで叫び出しそうな気持ちになったこともあります。でもそれが完成して、保険商品として発売され、お客様に受け入れてもらえるようになったことは、ものすごい達成感でしたし、「私、こんなことできたんだ」という自信になりました。
三宅:笑顔の裏にそんなご苦労があったとは。僕も頑張って自分をストレッチして、太陽マネジメントに挑戦したいと思います。
(構成:長山清子、撮影:吉野純治)
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