大手退職し「半年仕事・半年育児」43歳凄い生き方

収入は会社員時代と変わらずキープその秘訣は

アシシさんはもともと、独立志向があったわけではない。2000年、新卒でアクセンチュアに入社した彼は、会社で生き残るために必死で働いていた。会社員時代は、徹夜もいとわないような働き方をしていたのだ。

しかし、2005年に転機が訪れる。長期休暇を取得してヨーロッパを旅行したことが、アシシさんの価値観に変化をもたらした。旅行中にドイツで行われたサッカーの各大陸選手権「コンフェデレーションズカップ」を観て、サッカー観戦に対する熱が高まった。

「初めてひとりでヨーロッパを旅行して、サッカーを観に行ったんです。そこでの開放感や高揚感がとても新鮮に感じられて。ぼくが本当に好きなものは『サッカーと旅』だと悟りました」

自分が熱中できるものを海外で見つけ、それに時間を注ぎたいという思いが強くなったのだ。

また、会社での年次が上がるにつれて先述した顧客が払うコンサル料と自分の手元に入る給料の差に気づき始める。すると、アクセンチュアで会社員として働き続けることにメリットを感じられなくなった。

「コンサルティング業界は『自分の思考』が商品になるんですよね。だから独立してもひとりで仕事ができる。中抜きの金額が少なくなるので、収入も上げられる。そして自由を手に入れられる。会社員でいる必要性を感じなくなりました」

加えて、アクセンチュアの企業風土も彼の独立を後押しした。

「アクセンチュアは退職した人の出戻りを歓迎しているんです。『いつでも戻ってこい』といまでも当時の先輩に言われています。だからぼくにとっての独立は、『ノーリスク・ハイリターン』。会社を辞めることへの不安はゼロでしたね」

アシシさんは、2006年のドイツワールドカップ現地観戦後に辞表を提出。送別会では、上司や先輩から「好き勝手にやってこい」と送り出された。

働くことが”目的”から”手段”へ

「フリーランスになってからは、いかに効率よく仕事を終わらせて、プライベートを充実させるかという点を重要視するようになりました。ぼくの場合、半年の自由期間に海外でサッカー観戦をしたかったので、その軍資金を稼ぐために仕事をしていました」

アシシさんの会社員時代は、働くことが”目的”になっていたという。もちろんそれを否定しているわけではなく、彼自身は「がむしゃらに働いたからこそ、自分の能力やスキルを伸ばすことができた」と感じている。

しかしフリーランスになってからは、働くことが自由を謳歌するための”手段”に変化していった。会社員時代と比べて働き方への意識が180度変わったのだ。

そして2019年に子どもが生まれたことで、今度はベクトルが”自分”から”家族”に方向転換した。

「30代までは自分の欲求に忠実に生きていました。でも家族ができたことで、いまは妻や子どもと一緒に過ごす時間がいちばん大切です。そこの優先順位は自分の中でガラッと変わりました」

これまでは仕事以外の時間をサッカー観戦や旅に使っていたが、最近は家事や育児に時間を割いている。それが「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにつながっている。

「サッカーの応援って、いくら頑張っても報われないんですよね。それに対して子育ては、頑張れば頑張るほど報われる要素が大きい。子どもが生まれてからこの差を痛感するようになって、いまは育児中心の人生にシフトしてきています。子育てって理不尽なことも多いけど、毎日楽しんでいますよ」

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