大手退職し「半年仕事・半年育児」43歳凄い生き方 収入は会社員時代と変わらずキープその秘訣は

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アシシさんのように自分の自由時間を得られるのは、フリーランスの醍醐味といえる。が、フリーランスは景気や社会情勢によって収入が不安定になるデメリットもある。

クラウドソーシング大手のクラウドワークスが2020年4月に発表した調査によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって収入が減ったフリーランスは、約7割にも及んだという。

独立から15年が経過しているアシシさんは、今回のコロナショックはもちろん、リーマンショックの荒波も経験している。そうした苦境下でフリーランスが生き残るためには、「複数のポートフォリオを組んでリスクヘッジをする」ことがひとつの手段だと話す。

アシシさんはコンサル以外に、ふたつの仕事を掛け持ちしている。ひとつは、「研修講師」。外部講師として企業に招かれて、プロジェクトマネジメントやビジネススキルを教えている。

もうひとつは、「プロサポーター」としての仕事だ。彼がこれまで培ってきたサッカー観戦のノウハウを活かし、オンラインサロンを開いたり書籍を出版したりしながら収益をあげている。

このように複数の収益源を確保しておけば、コロナショックのような不測の事態が起きてもリスクを分散できるのだ。実際、アシシさんはコロナ禍でプロサポーターの収益が激減したが、コンサルや研修講師の仕事があったおかげで大きな痛手にはならなかった。

得意領域に好きをかけ合わせる

では、どうやって複数のポートフォリオを持てばいいのだろうか?

「自分の得意領域と好きな領域をかけ合わせることですね。最近は『好きを仕事に』という言葉をよく耳にしますが、正直、”好き”だけで成功するのは難しい。コロナ禍のような不況が来たらなおさらリスクが高まる。だからまずは自分の得意領域を伸ばして、そこに”好き”をかけ合わせたほうが再現性があると思います」

目についた家事や育児はすべて自分でやるスタンスだという(写真:村上アシシさん提供)

これは、フリーランスに限った話ではない。終身雇用制度が崩壊しつつある現代社会では、会社員にも通じることだ。

「これからの『人生100年時代』を生き抜くためには、会社員も複数の軸をつくり、それを掛け算していくべきです。会社に入って『1万時間の法則』(ある分野で一流として成功するのに必要な訓練時間)で1人前になれたら、別の業界に行って自分のできることを増やしたほうがいいと思います」

アクセンチュアでファーストキャリアを築き、フリーコンサルとしてセカンドキャリアを謳歌しながら、複数のポートフォリオをつくり上げてきたアシシさん。現在はそのポートフォリオを活かしたサードキャリアを模索している。

「40代になって仕事の捉え方も変わってきました。コンサルはぼくにとって『ライスワーク(生活するための仕事)』でしたが、いまは他者貢献や社会貢献にやりがいや生きがいを感じられるので、それを『ライフワーク』にしたいと思っています」

誰かに何かを教えることで、その人が新しい気づきを発見したり成長したりする姿を見られるのが幸せだという。これまで副業にしていた研修講師やプロサポーターの仕事では、その幸福感を得られるのだ。

だから今後はそのふたつのマネタイズに注力し、これまで本業だったコンサルの仕事は「いまのプロジェクトが終わったら辞める」考えも持っている。

「これからは一歩引いた立場で、若い世代に継承したり貢献したりしていきたいです。研修講師もプロサポーターも、そういう部分で楽しくやらせてもらっています。いまのところ、すぐに現役を引退して働かないという考えはないですね」

20代は自分を高めるためにひたすら努力し、30代は労働時間を減らして自分の時間を楽しんだ。迎えた40代、アシシさんのキャリアは新たなステージに突入する。

新妻 翔 フリーライター

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にいつま しょう / Sho Niitsuma

1990年生まれ。埼玉県出身・赤羽在住。立教大学社会学部現代文化学科卒業。2013年、金属業界専門の新聞社に入社し、広告営業を5年経験。2018年、インターネット広告代理店に転職し、約2年間フリーペーパーの広告営業に従事。2020年7月からフリーランスのライターとして活動。Twitter:@niitsu57

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