「自分は他者よりも優秀」に見える危うい思考回路 多様性や個性を認めてこそ自分の価値がわかる

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例えば、KTさんの上司である課長や部長の主たる業務は、20名程度いる部員の管理であったり、他部署や外部との調整であったりします。KTさんの行っている業務において課長や部長よりKTさんが優れていたとしても、それをもってKTさんのほうが優れているとか、社内における価値があるとかとは、いえないのです。

見方を変えると、課長や部長がKTさんの業務をしないがゆえに、KTさんの存在価値が高まり、その能力を発揮できるのです。

これは一般的な職場だけでなく、スポーツや他の分野においてもそうで、優れたプレイヤー(部員)が必ずしも優れた監督やコーチ(管理者)になるとは限りません。それは冒頭に述べた通り、立場によって求められる役割や能力が変わるからであり、また、何をもって価値や成果とするかも変わってくるからです。

自分の業務だけで他者を評価しない

KTさんの業務という非常に限られた土俵だけで、周りの能力や価値を判断すべきではないのです。

むしろやるべきは、周りの人の優れた部分を見つけ出し、そこから学べる部分は何かを考えたり、自分は何をすべきかを考える糧としたりすることでしょう。

そのうえで、どうしても周りから学べるものがないということであれば、そこで初めて「他の世界を見てみようか」と考えるべきなのです。もちろんそれは、自分は何を学びたいのか、将来の労働市場において自分の価値をどの程度高めてくれるのかを、キチンと理解したうえでということになります。

少なくとも現時点では、KTさんは周りの人の業務を、ご自身の業務の範囲内という非常に限られた側面でしか見ていないようですので、もう少し広い視野をもって、周りの人の業務や能力を観察する必要があります。

所属する部署のミッションや役割、自分はそこでどのような役割を果たしているのかを、今一度見直してみるのが最初の一歩でしょう。周りの人の良さや、学べる部分や見習う部分を見つけ、自分自身を成長させるようなステップを踏むべきです。

KTさんが広い視野で物事を判断し、多様性の尊重や他者への感謝と共に成長していくであろうことを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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