フロントも名札もない超個性派ホテルが見参

虎ノ門ヒルズに陣取った「アンダーズ 東京」

49~50階のスカイスイート。スタンドや鉢植えなど、友人の部屋に招かれたようなテイストだ。眺望もよい210平方メートルで、1泊100万円!(撮影:大澤誠)
 東京だけでも星の数ほどあるホテル。総支配人たちを訪ね歩くうちに、見かけもサービスもまったく異なるラグジュアリーホテルに、ある共通の価値観が見えてきた。
 なぜ、あのホテルの名の響きに、ブランド価値を感じるのか。それは、一言で言えば、顧客本位だ。見知らぬ土地を訪ねてきた国内外の旅行客が、ほっと一息つける場所がホテルであり、自宅に戻ったようなリラックスを味わいたい。
 東京・虎ノ門で6月にオープンした「アンダーズ 東京」も、そうした安らぎを与えてくれるホテルの一つだ。「ハイアットホテルズ&リゾーツ」の新ブランドとして、マッカーサー道路をまたぐ高層ビル、虎ノ門ヒルズの最上52階を含む6フロアに入居した。52階のチャペルは都内一高く、東京タワーを一望できる。内装には日本人デザイナーも加わり、和のテイストを加味している。
 何より出色なのは、その接客スタイルだ。フロントにはカウンターがなく、従業員も名札をつけていない。自分の家に招いたようなサービスを名実ともに実行するためである。アンダーズはヒンディー語で「パーソナルスタイル」を意味する。個々の客のスタイルに応じ、時には隣に腰かけてコーヒーを飲みながら、柔軟に対応する。オープンから1カ月以上経ち、認知度も高まってきたアンダーズ東京の手ごたえについて、総支配人のアルノー・ド・サン=テグジュペリ氏を直撃した。

想像以上にすばらしいデザイン

――実際にオープンしてみて感触はどうですか。

とても嬉しい。長い間コンセプトを作り上げ、現実にオープンしてみると、デザインは想定以上にすばらしく、とても満足できるものだった。

われわれはすでに第2ステージに入っていて、筋書きのない「パーソナルスタイル」というコンセプトを、サービスとしてきちんと提供できることが大切だ。

当初の何日間かは、虎ノ門ヒルズを見に来ていた想像以上に大勢のお客様に、ホテルを訪れていただいた。今は少し落ち着き、宿泊客がレストラン「アンダーズ タヴァン」や最上階の「ルーフトップバー」で、飲食を楽しんでいただいている。

51階のレストラン「アンダーズ タヴァン」(梅谷秀司)

――総支配人にとって、アンダーズのオープニングは何軒目ですか。

2軒目で、1軒目はロンドンだったが、まったく異質な開業だった。そこはもともとあった別なホテルを購入し、アンダーズに改装したからだ。すでに基本となるお客様がいるところに新しいコンセプトを提示し、新しいお客様もいらっしゃった。今回の東京はすべて、ゼロから新しく建てられたホテルだ。

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