プーチン大統領が目立つ間は、儲けるチャンス 【今週の相場】当面は地政学リスクが「味方」になる

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コメントはおおむね以下のようなものだ。5日(火)「ウクライナ情勢をめぐる懸念から反落」、6日(水)「ウクライナ情勢の不安は残るが買戻しで小反発」、7日(木)「ウクライナ情勢の不透明感で反落」、8日(金)「ウクライナ懸念が後退し大幅反発」、11日(月)「ウクライナ懸念和らぐ中で続伸」、12日(火)「ウクライナ情勢をにらみつつも、新材料なく小幅下落」、13日(水)「ウクライナ情勢のさらなる悪化がなく、短期的買戻しで反発」、14日(木)「ウクライナ情勢安定化期待で続伸」・・。

「なんだこれは!」と言った感じである。8月5日から14日まで、そして結局は週末の15日も、アメリカ株はすべてウクライナ情勢に沿って動いたことになる。実際にはあり得ない話なのだが、「政策で動く相場では、政策の中心にいる人が一番儲かる」と言われる。その昔、相場巧者でもあった英国の経済学者ケインズに対して、周りの誰かがやっかみ半分にそう言ったらしい。

そうすると、今ならさしずめアベノミクス相場の真っただ中にいる安倍首相が一番儲かるということになる。さらに、これだけウクライナ情勢に沿って動くNY株なら、プーチン大統領が一番儲かるということになる。もちろんこれはあり得ない話であり、関係者は真面目に抗議しないでいただきたい(笑)。

私がいいたかったのは、これだけ、少なくとも表面的には地政学的リスクだけを材料に、相場が敏感に動くのも珍しいということだ。そして、そうなったのは、ちょうどマーケットが金融相場から業績相場へ移る過渡期だからだ。

「地政学リスクの予想」は難しいが、儲けるのは簡単?

実は、地政学的リスク以外に材料がないわけではないのだ。しかし、好材料は「金融引き締め懸念」に、悪材料は「緩和継続期待」にそれぞれ相殺されて、方向観を出す材料になれない。

それに引き替え、ウクライナにロシア軍が迫ったからECBがすかさず大量に資金供給して量的緩和のステージを上げるということはない。リスクはカバーされることなくそのままリスクとなる。しかも軍事衝突の微妙な展開は予測するのが難しい。ただし、第1次、第2次オイルショック時のように、世界の経済構造を大きく変えたリスクと違い、今のリスクは経済政策を根本的に変えるものではない。

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