売れ筋飲料「水・コーヒー・茶系」が上位独占する訳 選ばれる理由は「安心」と「通年で楽しめる」
ちなみに市場全体では、2020年は新型コロナウイルスの影響で、対前年比93.4%の「17億7700万ケース」と落ち込んだ。
大人も子どもも在宅時間が増え、家庭の水道水からつくる茶葉・粉末飲料との胃袋争奪戦、最需要期の2020年7月に2年続いた冷夏、外出自粛に伴う自販機の需要減、営業自粛等で飲食店の(市販品の)購買控えなど複合要因といわれる。その中でも上位ブランドは手堅い。
おいしい水を追求した「サントリー天然水」
最新調査で首位は「サントリー天然水」(サントリー食品インターナショナル)だ。
「水」への支持に加えて、レモンなどのフレーバー、スパークリングなど微妙に味が違う派生商品も上乗せ。長年首位だった「ジョージア」に代わり、2018年からトップに立つ。
発売された1991年は「南アルプスの天然水」という商品名だったが、その後に改称。ブランド伸長に伴い採水地も阿蘇(熊本県)や奥大山(鳥取県)に広がり、2021年春から北アルプス(長野県)も加わった。
「メーカー視点では『水としてのおいしさ』や『安全・安心な水』という機能的価値と、『天然水』という言葉が持つ情緒的価値を高めてきた結果だと思います。商品ラインナップも炭酸水や果実系を投入し、多様な嗜好に応えるようにしています」
サントリー食品の平岡雅文さん(ジャパン事業本部 ブランド開発事業部課長)はこう話す。消費者の声も「おいしい水」「手軽に飲める」が多く、調理用としても使われる。
そうした安全・安心を培ったのは地道な活動だ。
製造する工場の立地も「水源」にこだわり、災害に備えた消費者の備蓄意識に対応するため、各地に工場を分散させて有事の際は融通をきかせる。自社グループで汲み上げる地下水量の2倍以上の水を「涵養」(地表の水を地下に浸透させる)という取り組みも行う。
テレビCMで流れる山や清流のイメージは、品質活動あってのものだ。かつて「水はタダ」という意識も高かったが、味へのこだわりと健康志向の消費者意識も追い風にした。
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