「何となくFIREで早期退職したい人」に欠けた視点 「自由な生活」を得るために必要な条件とは

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おそらく、この記事を読んでいる人の多くは、毎月10万円、20万円、30万円を積み立て続けられるか? と疑問に感じているのではないでしょうか。

まったくそのとおりで、20年~30年の長きにわたり、毎月10~30万円を積み立て続けるには、相応の収入が必要です。

また、収入が高い人は支出が多くなりますので、必要な資金が増えることになります。

さらに、結婚したり、子どもが生まれたり、家を買ったりすると貯めたお金を使うことになります。

積み立ての維持は現実的に難しいと感じます。

FIREを目指しやすい人とは?

それでもFIREを目指したい、という人はどうすればいいのでしょうか。実現するには3つのパターンがあります。

(1) 稼ぐ
稼ぐに追いつく貧乏なし。使う以上にお金を稼げばいつしかお金は貯まります。具体的には自分で事業を起こす起業という手もあります。しかし、FIREを目指す人の暮らしぶりと寝る間も惜しんで働く起業家のイメージは正反対。となると、支出を抑えるしかなさそうです。
(2) 投資上手になる
FIREに欠かせないのが上手に投資することです。S&P500に投資するのも一案ですが、株価暴落時の備え、特にFIRE目前での資金管理が重要です。せっかく増やした資金が経済危機で半減する可能性はあります。一方で、債券などの安全資産を増やすとお金の増え方が遅くなります。
(3) 倹約する
最も再現性が高く誰でも取り組める方法は倹約です。無駄な支出をしない。FIREを目指そうとする人は、手取りの50%程度で生活する必要があるでしょう。それを数十年続ける。家族が増えるような人生設計ですと倹約の継続は難しいかもしれませんが、独身で実家暮らしの若者なら取り組める可能性があります。

いずれにせよ、上記3つの掛け合わせで資金を確保する必要があります。

もしあなたがFIREを目指す場合は、なぜ実現したいのかを改めて考える必要があるでしょう。目的や目標があいまいなまま達成できるほど、簡単な条件ではありません。「FIREファースト」で生活しなければ、実現は夢のままに終わるでしょう。

FIREを目指す過程で、周囲の人たちからは理解を得られないことも増えるでしょうから、新たな友人やコミュニティーを獲得し、前向きにFIREについて情報交換できるような準備も必要です。

明確な目標を設けて、コツコツと継続する。勉強やスポーツと同様、一筋縄ではいかないことかもしれません。

高橋 成壽 ファイナンシャルプランナー

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たかはし なるひさ / Naruhisa Takahashi

寿FPコンサルティング株式会社代表取締役。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、金融系のキャリアを経てFPとして独立。お金を増やす、お金を守るという視点でFPサービスを提供。30代40代の財産形成、50代60代の資産運用、70代以降の相続対策まで幅広い世代に頼られている。「ライフプランの窓口」を企画運営。著者に『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』(廣済堂出版)がある。日本FP協会認定CFP。

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