今からアメリカ株をどうやって買ったらいいのか 投資初心者のアメリカ株との「付き合い方」

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以下の表は、東証に上場されている(すなわち円建ての)ETFで5年以上の運用実績があるものの価格(月末値)からリスクを簡易計算してみたものだ。

例えば、日本株のインデックスファンドの場合、TOPIX連動のもののほうが日経平均連動のものよりも顕著にリスクが小さいことがわかる(日経平均は無駄にリスクが大きい)。

このデータで、S&P500連動のファンド(証券コード番号1557)と世界株(日本を除く)連動のファンド(同1554)のリスクを比較すると、より広く分散投資されている後者のリスクが小さい(17%対16.2%)。投資対象として点数をつけると、前者が85点、後者が90点というくらいの差だろうか。筆者が勤務したことのある大学の成績表だと「A」と「AA」の差になる。

仮に「ファンド1本だけに投資するならどれ?」と言われたら、筆者なら世界株を選ぶ。商品の範囲を拡げると、「オールカントリー」などと言われる「日本株を含む世界株」がよりいいと思うが、今や日本株は世界の株式市場の6%強にすぎないし外国株との連動性が高い(相関係数は0.8に近い)ので、両者に大きな差はない。

S&P500だけだと、アメリカのリスクをもろにかぶる

S&P500と世界株(日本を除く)の相関係数が0.97と極めて大きいことからもわかるように、数字から見ても両者に大差はないのだが、リスクの絶対値から見て明確な差がある。また、定性的にも「S&P5001択」だと、アメリカ特有の制度変化(例えば税制や規制の変化)や経済変動のリスクをより集中的に受けることになる。

全世界株への投資を、公募の投資信託で行うか、東証上場のETFで行うか、アメリカで上場されているETFで行うかについては、個人の運用資金の事情によるが、それぞれのカテゴリーの正しい選択肢の間で大差はない。

筆者は『週刊東洋経済』の特集号の55ページで紹介されている「ヴァンガードトータルワールドストックETF」(コードは「VT」)を持っているが、同ファンドは新興国や小型株も含む世界の株式に広く投資していて、経費率(各種手数料・費用の合計)は年率0.08%だ。このファンドをはじめとしてヴァンガード社のファンドの多くは、運用資産額が大きくなると経費率が下がる仕組みになっていて(日本の運用会社にも真似してほしい!)、筆者が投資した5年前と比較すると経費率は半分程度に下がった。

実は、「VT」には面白い話がある。このファンドは、1つのファンドで世界の株式に投資できる優れた商品なのに、ヴァンガード社の他のETFと比較して、意外に時価総額が大きくない(現在ざっと2.5兆円だ)。

次ページなぜVTの規模はさほど大きくないのか?
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