20年経った今語られる「捜索救助犬たちの9.11」 生存者の捜索だけでなく、人々を癒やした存在

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ニューヨークで開催中の「K-9犬たちの勇気」では、2011年9月11日の同時多発テロ後、世界貿易センターで捜索救助活動に参加した犬たちが紹介されてている(写真:9/11 Memorial & Museum; Jin S. Lee)

9月11日に世界貿易センターのツインタワーが倒壊してから2週間以上、数百匹の捜索救助犬が、くすぶる残骸の中から生存者の兆候を探した。

高さ17インチのラットテリアであるリッキーは、狭い隙間に身を押し込むことができた。カナダから来たジャーマンシェパードのトラッカーは、2日間、瓦礫の中をくまなく探したのちに煙の吸引、疲労、そして火傷により倒れた。4歳のゴールデンレトリバーのライリーは、広大なデブリの深部まで捜索し、数人の消防士の遺体の発見に貢献した。

「私たちは何百人という人々が閉じ込められているのだと思って現場に行きました」とライリーの調教師であるクリス・セルフリッジ氏(54歳)は言う。「しかし、生存者は1人もいませんでした」。

テロでの捜索活動に貢献してきた犬たち

壊滅状態の中から見つかる生存者はあまりいなかったが、犬たちの仕事に対する献身的な様子は、救急医療スタッフや、緊急救助の現場を目撃したそのほかの人々を勇気づける光景となった。テロから20周年を迎えるいま、犬たちの活動を記念した展示がアメリカンケネルクラブのミュージアム・オブ・ザ・ドッグで開催されている。

「9/11 Remembered: Search & Rescue Dogs(9/11を想う:捜索救助犬)」というタイトルのこの展示では、9.11に限らず、その他のテロや災害で活躍した世界中の犬たちの業績も取り上げられる。展示では、DOGNYプロジェクトという、実物大のジャーマンシェパードの彫刻を造ることで知られる芸術イニシアチブの作品もいくつか披露される。テロの後、約100点の同様の作品がニューヨーク周辺に置かれた。

「この展示が少しでも人々を元気にすることを望んでいます」と、博物館の館長であるアラン・フォーセル氏は言う。

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