自民総裁選、若手議員が派閥の締め付けに反発 次の時代に向けた世代交代も大きなテーマに

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自民党総裁選(17日告示、29日投開票)は、派閥の締め付けに反発する中堅・若手議員らの動きが行方を左右しそうだ。領袖(りょうしゅう)の号令で菅義偉首相誕生への流れが決まった昨年の総裁選から一転し、投票先を縛らない派閥も続出する可能性が出てきた。

「密室政治、長老政治」との批判に危機感

自民党本部では7日、派閥単位ではなく自由な判断で次のリーダーを選ぶべきだと考える若手議員らが集まった。最大派閥の細田派に所属する福田達夫衆院議員は、地元選挙区で今の自民党に対し「密室政治、長老政治」との批判が寄せられていることへの危機感を訴えた。

総裁選は間近に迫る衆院選に向けた「選挙の顔」選びの側面も強い。自民党は所属する衆院議員276人のうち、政権復帰した2012年の選挙で初当選した議員の割合が最も高く、14、17年に初当選した議員も含めると、選挙基盤が比較的弱い当選3回以下が半数近くを占める。安倍晋三前首相の下で行われた直近3回は自民党に有利な情勢で行われており、今回は初の逆風の中での衆院選だ。

当選3回の山下貴司衆院議員(石破派)は、「派閥の親分が言ったから首相を決めたということでは、とても国民の納得がいただけないことは皆分かっている」と話す。派閥単位ではなく、議員個人で投票先を判断する開かれた総裁選を実施しなければ「今の危機的なコロナの状況を国民の協力を得て乗り越えられない」との考えだ。

派閥は自民党内の政策集団を指す。総裁選では「数の力」を背景にした主要派閥の動向が結果を左右する時代が続いた。2001年に総裁となった小泉純一郎元首相は脱派閥を唱えたが、5年超に及ぶ在任中に出身派閥の森派(現在の細田派)が勢力を拡大し、安倍前首相も同派から誕生した。昨年の総裁選では細田派、二階派などが相次いで無派閥の菅首相への支持を表明。派閥の結束も崩れず、菅首相が圧勝した。

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