時期を同じくして、実家の母から、妹の理子(仮名)が「できちゃった結婚をすることになった」と聞かされた。
母が清美に言った。
「まあ、今の時代だからできちゃった結婚でもいいんだけれど、親戚とかに言うのは、ちょっと恥ずかしいわねぇ。ただ、理子も幸せそうだし、旦那さんになる男性がこの間、ウチにあいさつにきてくれたんだけど、固い会社に勤めていて、真面目そうないい人だったわ。それで、お母さんもお父さんも安心したのよ。で、清美はどうなの? 前に付き合っている男の人がいるって言っていたじゃない? その人とは結婚できそうなの?」
孝徳のことをまだ独身だと思っていたときに、母に「結婚を前提に付き合う人ができた」という話をしていた。だが、その後既婚者だとわかり、後ろめたさもあって、孝徳の話は母の前ではしなくなっていた。
薄っぺらい関係を2年も続けて…
ここまでの経緯を話すと、清美は私に言った。
「冷静になってよくよく考えてみたら、離婚調停が本当に行われているかどうかもわからないですよね。あと“別居が長ければ離婚が認められる”ってよく言われているじゃないですか。それで、ネットで調べてみたんですけど、それって何年別居していればよいとかいう、正式な年数の決まりごとはないみたいで。仮に、奥さんが興信所に依頼して彼の身の回りのことを調べて、私と不倫しているのがわかったら、私が奥さんから慰謝料を請求されるかもしれないなって。そして、何より……」
ここまで言うと、一息おいて、こう続けた。
「そもそも婚活パーティに、『40のオジサンじゃ、モテない』と思って後輩の保険証を借りて参加する。それが、彼の人間性なんですよね。服もオシャレで、会話も行動も刺激的で、流行のスポットもたくさん知っていて、お付き合い自体は楽しかった。でも、友達や妹が結婚していくのを目の当たりにして、私はなんてチャラチャラした薄っぺらい関係を2年も続けてきたんだろうと、思っちゃったんですよね」
そして、先月、彼に別れ話をした。「離婚すると言ってまったく離婚しないアナタと付き合っていたら、私の人生の時間がムダになる」と告げたそうだ。食い下がる孝徳に、「じゃあ、3日以内に離婚して!」と言うと、それ以上は何も言わなくなったという。
「私ももう40が見えている。1日でも早く結婚して、子どもを授かりたい。今が一番大事な時期だし、不倫をズルズル続けていたら、一生後悔すると思ったんです」
結婚から一番遠い場所にいる女性は、付き合っている男性がいない女性ではない。結婚を言い出さない男性と付き合っている女性だ。不倫もしかり。
恋人がいない女性は、清美の友人の美江のように、いい出会いがあれば結婚できる。しかし、結婚を言い出さない男性や、妻子持ちの男性と付き合っている女性は、寂しくないし、“いつかは彼と結婚できるのではないか“というわずかな希望にすがって、時間を無駄に費やしてしまう。
結婚は、“決断“である。今、結婚を決断できない男性は永遠に結婚を決断できないし、今離婚ができない男性は永遠に離婚しないのだ。
清美の潔い決断と再出発を、サポートしていきたい。
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