菅首相が切り捨てた、弱者の「助けて」という声 感染対策の切り札「ロックダウン」の是非を問う

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9月3日、自民党総裁選への不出馬を表明した菅義偉首相(写真:共同通信)

政府は9月8日、宮城、岡山を除く19都道府県で緊急事態宣言の期限を9月12日から30日まで延長する方針を固めた。

次々と出現する感染力の強い変異株、日々伝えられる医療現場の逼迫、自宅療養中の死亡――日本医師会は「長期戦を覚悟」との見解を発表した。

にもかかわらず、麻生太郎副総理兼財務相は9月7日、前日の東京都の新規感染者数が1000人を下回ったことに触れつつ、新型コロナウイルスの感染拡大は「まがりなりにも収束」したと語った。4度目の緊急事態宣言が発令された7月12日の東京都の新規感染者数は502人である。わずか2カ月前のことを忘れてしまったのか。現政権がいったい何を基準に判断しているのか、不明だ。

ロックダウンの是非をめぐる議論

東京都の新規感染者数が初めて1000人を超えたのは、昨年の大みそか。1月7日には2000人を超え、2度目の緊急事態宣言が発令された。

現在はワクチン接種が進むなど1年前とは状況は違う。しかし、根拠不明のまま「収束」などと口にしながら冬を迎えたとき、昨年と同じくウイルスが一層の猛威を振るう可能性は否定できない。

そうした場合、巻き起こると予想されるのが、ロックダウン(都市封鎖)の是非をめぐる議論だ。

先に結論を言うなら、私はロックダウンの実施に反対ではない。ただし、十分な補償とセットであることが絶対の条件である。

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