「屋外ゴルフ練習場」大幅減の裏にある相続問題 未経験者がゴルフに最初に触れる場所の危機

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例えば世田谷区に打席数が20程度のアウトドアの練習場で、横50m×奥行80m土地にあると想定して相続税を計算する。世田谷区のある地域の路線価は400千円/㎡であり、その評価額は50m×80m×400千円/㎡=16億円になる。相続税を概算すると、ゴルフ練習場は更地扱いで最高税率の55%がかかり、16億円×55%=8億8000万円となる。

これだけの金額の相続税が発生することを考えれば、長期的な準備が必要で、また払いきれない場合は、土地を含めて資産の売却等が必要になる。

さらに、相続で問題となるのは、相続人が複数いる場合だ。引き継ぐ意思があったとしても、全員の合意や、財産分与をできる形でないとゴルフ練習場を残すことは難しくなる。例えば、長男がゴルフ練習場事業を引き継ぐ意思がある場合、長男がゴルフ練習場用の広い土地を相続する代わりに、分割できない分の土地相当の金額を相続人となる他の兄弟姉妹に支払う、代償分割という方法も必要になる。

ゴルフ練習場の土地を全員、または一部の相続人が共有する方法もある。いずれにしても、高額の相続税や代償分割にかかる費用を準備できないと、土地を分割、売却して相続することになり、広い土地を必要とするゴルフ練習場の事業継続自体が難しくなる。

ゴルフ練習場を事業承継するための原則

野口氏よると、ゴルフ練習場を事業承継するための中長期の準備の基本三原則として、①分割を避けるための対策:遺言による次の世代への事業継続のため意思表示、②収益力アップ、③不動産の評価減:土地の有効活用、がある。

②については、想定される相続税の10分の1のキャッシュフローを毎年積み上げ、利益を長期的に確保できる体質を作れれば、ゴルフ練習場の事業継続ができる。練習場の単なる打席やボール貸しだけでなく、スクール事業、ゴルフ用品の物販、飲食などを組み合わせ、収益力をあげる。また、法人化して税の軽減もはかるなどの対策が必要。

③については、例えばゴルフ場の土地に建屋を建て、その上に練習場を作るなどして、建屋の一部を賃貸し、相続税の減額と併せて収益力アップをするなどの工夫だ。

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