JR東が生んだ「無人決済店舗」、ANAと狙う全国展開 羽田に1号店、旅先で「当たり前の風景」となるか

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無人決済店舗は鉄道駅や空港の店舗だけでなく、道路沿いにあるガソリンスタンドの役割も変える可能性もある。TTGは7月、サービスステーション(SS)を展開する三菱商事エネルギー、ガソリン計量機・SS店舗メンテナンスを手がけるタツノと業務提携。9月に千葉市の大型トラック向けSSに、小型の実証実験1号店をオープンする。

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3社は報道発表資料で「大型トラックは、コンビニ・飲食店などに立ち寄りたくとも、駐車できる場所が極めて限定されるため、ドライバーは、日頃から食事場所を探すことに苦慮していました。さらにコロナ禍において、飲食店の営業時間が短縮され、特に夜間の食事場所が限られることがドライバーの健康に関わるとして問題視されています」と導入の意義を強調した。

「4年後に100店舗目指す」

TTGはコンビニ型の無人決済システムを「月額50万~80万円程度、1~2人の人件費相当で利用が可能な月額サブスクリプション」としてサービス展開していく。同社の阿久津智紀社長によると、採算ラインは50店舗ほどで、4年後に100店舗での導入を目標とする。

出口にあるタッチパネルに購入商品一覧が表示される(記者撮影)
支払いは交通系電子マネーに対応。ANAのマイルも貯まる(記者撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大による人流抑制は逆風になるとは限らない。阿久津社長は「売り上げが減って、これまで通りに人員を配置できないなど小売りの構造が変化しており、店舗からの引き合いが増えている。非対面の需要もあって、もともとやろうとしていた取り組みがコロナ禍で加速した面がある」と明かす。空港でいえば、飛行機に搭乗する直前の買い物需要はあるが、有人の店舗を設置するほどの採算性はない、といった小規模な場所に商機がありそうだ。

店舗を運営する側にも利用客側にもメリットが期待できる無人決済店舗。現在は都内の数カ所に限られ、物珍しさが先行する印象は否めないが、近いうちに、鉄道や飛行機、自動車と、さまざまな交通手段で日本各地を移動する際に外せないスポットとなる日がやって来るかもしれない。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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