JR東が生んだ「無人決済店舗」、ANAと狙う全国展開 羽田に1号店、旅先で「当たり前の風景」となるか

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TTGの無人決済システムはこれまでにJR山手線の高輪ゲートウェイ駅や、目白駅構内の紀ノ国屋の小型スーパーマーケットで導入済み。ファミリーマートとの業務資本提携で、3月末にはJR東京駅日本橋口のサピアタワーにコンビニの実用化店舗1号店を開業させた。西武新宿線中井駅でも、ファミマと西武鉄道が共同展開する「トモニー」の無人決済店舗がオープンした。

これまでの4店舗は鉄道駅が中心で、空港への進出は初となる。土産物店はコンビニよりも客単価が高い特徴がある。今回設置した店舗は広さ約40㎡、土産用の菓子やANAオリジナル商品、弁当など100アイテムを揃える。人の動きや商品を認識する天井のセンサーカメラは18台取り付けた。

各地の空港への展開も視野

洋菓子や和菓子はANA FESTA羽田全店の販売データから価格帯別に上位商品を横一列に陳列する「おすすめランキング」方式を採用した。入り口にあるゲートで利用客の来店を確認、商品をレジにもっていくと自動で明細が表示される。支払いが終わると出口のゲートが開く仕組みで、混雑を避けるため入店は10人までに制限する。

商品は「おすすめランキング」形式で陳列(記者撮影)
複数の商品を手にとっても自動で認識される(記者撮影)

支払いは、Suica(スイカ)などの交通系電子マネーやクレジットカード、現金に対応。従来の空港店舗と同様、ANAマイレージクラブ会員なら購入金額の税抜き100円につき1マイルが貯められる。ANAカードの会員であれば、税込み1000円以上の買い物で購入金額から5%引きになる特典も同じで、ANAユーザーにうれしい仕様となっている。一方、ANAの株主優待券やツアーなどの割引特典には対応していない。

ANA FESTAは国内32空港に店舗がある。TTGの無人決済店舗は、利用客と店舗スタッフとの対面がなく、省力化で店舗運営上のメリットも大きいため、今後、両社の協業で全国各地の空港への展開も視野に入れていくという。全日空商事の広報担当者は「地方では空港に来てくれる人員が確保できない場合もあるので、店の運営を維持するうえで無人決済店舗を展開していきたい」と話す。

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