綾瀬はるかコロナ感染が猛批判招いた唯一の失敗 ただし批判のほとんどは臆測や思い込みに基づく

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もし世間の人々と綾瀬さんが「平等・公平ではない」と言うのなら、それは「綾瀬さんをサポートしたいという人が多い」というだけのこと。もともとワクチン予約1つ取っても、ネットを使えない人は苦労しているように、コロナ関連でも平等・公平とは言えないことが少なくありません。「平等・公平ではない」と綾瀬さんを批判している人々も、ワクチン予約などで自分が得ている優位性に気づいていないのです。

ただ、人々が「常に芸能人トップクラスの好感度を保ってきた綾瀬さんを批判する」「やみくもに平等・公平を主張する」などの言動に走る気持ちも理解できないわけではありません。

長期にわたる自粛生活の要請、医療現場のひっ迫を防げなかったこと、ワクチン接種の遅れ、子どもの運動会を中止させるのにオリンピックを開催するなど、国や自治体のやり方に不信感が募ったことで心が荒んでいるのでしょう。綾瀬さんへのバッシングに「上級国民」というフレーズが使われているのも、政治家への不信感が含まれていたからではないでしょうか。

「自分目線で得か損か」を決めているだけ

そういう背景があるため、コロナ関連のニュースでは「けしからん」と怒りたくなる心境こそ理解できますが、だからと言ってそれを罪のない個人にぶつけるのは大問題。自分は正義感に基づいて平等・公平を主張しているつもりでも、けっきょく「自分目線で得か損か」を決めているだけのケースが多く、視野が狭くなっているのです。

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入院しただけでバッシングを受ける状態が続くほど、個人が個人を攻撃し合う生きづらい世の中になっていくだけでしょう。よほど行動に問題があった人を除けば、コロナ感染した人に対しては、「お大事に」「早くよくなりますように」と声をかける優しい世の中であってほしいものです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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