私は、これまで日本の多くのリーダーのコミュニケーションの家庭教師として、そのコミュ力改善のお手伝いをしてきましたが、「何か話せば、何かは伝わる」、もしくは「話さなくても伝わる」と思い込んでいる人が、あまりに多いことにいつも驚かされます。
「相手が受け取れないようなボールでも、数さえ投げれば、どれかは受け取ってくれるだろう」。もしくは、「ボールは投げないでも、相手は何かを察して、受け取ってくれるのでは」。そんな甘えた考え方をする人があまりに多いのです。
無味乾燥な官僚作文を淡々と読み上げるだけで、伝わるわけはない。ボディランゲージから声、表情、服装、プレゼン資料、原稿の構成・内容、何から何まで、まるで「素人」の領域では、話になりません。その「戦略性の欠如」は致命的です。
話すことで最も大切なのは「聴く」ことです。なぜなら、相手の話を聴き、気持ちやそのニーズを理解し、受け止め、対話をしていくことこそが「コミュニケーションの本質」だからです。
一方的に言いたいことを言うだけでは、相手を置き去りにするだけ。そういった意味で、菅総理には「傾聴力」がどこまであったでしょうか。周囲の意見、国民の意見に耳を傾け、チームとしての結束を呼びかけ、推進していく力がリーダーには絶対的に必要です。
「本気で国民と向き合う覚悟」を固めるべき
「上っ面の言葉だけで、国民にすり寄り、扇動するリーダー」よりは、「多少、口下手でも誠実なリーダー」のほうがマシ、という気もしますが、だからといって、「伝える努力」を放棄していいわけではありません。
巻き返しを図ろうとするのであれば、数の力や党内政治に頼るのではなく、「話し方」「伝え方」「コミュニケーション」を変え、「本気で国民と向き合う覚悟」を固めるべきでしょう。
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