いったい、美術品の値段は何で決まるのか? 2000万円、3億円、15億円…その違いは

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最後は、3億円超

もう1点、横幅が5メートルもある大型の写真作品を見てみたい。オランダのファッションブランド「ヴィクター&ロルフ」の服を着たモデルがキャットウォークを歩いている。しかし、目を凝らすと、同じモデルが何カ所にも写っていて、写真が合成されたものだとわかる。ドイツのアンドレアス・グルスキー(1955年~)の作品だ。

アンドレアス・グルスキー『V&R』2011年 タイプCプリント ヤゲオ財団蔵 ⒸAndreas Gursky / VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2014 E1016

「自然に見えて人工的。考えてみるとそれはファッションの世界も同じ。そんな皮肉の精神が込められています。その一方で、洋服は形といい、色彩といい、彫刻的、絵画的な要素があるということを、ビビッドに感じさせてくれます」

グルスキーの作品は需要があり、現存の写真家では価格が最も高い人のひとり。この作品も3億円を超えるという。

これらの作品を含め、マーク・ロスコ、フランシス・ベーコン、ゲルハルト・リヒターら、約40作家の約75点が展示室に並ぶ。いずれも台湾のコレクター、ピエール・チェンさんが収集したものだ。それぞれの作品には通常の解説のほかに、アートマーケットでどう扱われているかについての説明も添えられている。

そして出口には、50億円で好きな絵を買ってみようというゲームがあり、ちょっぴりコレクター気分も味わえる。おカネのことは別としても、サンユウやマーク・ロスコの絵をゆっくり眺められる展覧会だ。


現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより
 
2014年6月20日~8月24日
東京国立近代美術館
東京都千代田区北の丸公園3-1
TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
10:00~17:00(金曜は20:00まで、いずれも入館は閉館30分前まで)
月曜休み
一般1200円、大学生500円
名古屋市美術館(2014年9月6日~10月26日)、広島市現代美術館(2014年12月20日~2015年3月8日)、京都国立近代美術館(2015年3月31日~5月31日)に巡回。

 

仲宇佐 ゆり フリーライター

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なかうさ ゆり / Yuri Nakausa

電機メーカー勤務、秘書などを経てライターに。ラジオ、アート、本などの記事や人物ルポを執筆

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