いったい、美術品の値段は何で決まるのか? 2000万円、3億円、15億円…その違いは

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15億3000万円の絵画

サンユウ(常玉)『アヒルとボート』1930年 油彩・キャンバス ヤゲオ財団蔵

船の上で中国服の女性が髪を結い、右下には60羽のアヒルが行儀よく並んでいる。作者のサンユウ(1901~1966年)は中国の四川省に生まれ、パリで活躍した画家だ。

「一見のんびりした絵ですが、よく見ると、川、地面、空が色の帯だけで構成されていて、抽象画に近い要素があります」

そして川面に目をやると絵具がかすれている。もともと西洋の油絵には、かすれさせる描き方はあまりないという。墨と筆を使う東洋の文化を知っていればこその表現だ。

「1930年に描かれたことを考えると、そうとう革新的だったと思います。墨と筆で培われた東洋の美的なセンスと、西洋の油彩のテクニックを合わせています。サンユウはずっと東洋と西洋の融合に取り組んできました。日本やアジアの人の琴線に触れる作品だと思います」

中華系のコレクターの間でサンユウは非常に人気が高く、この絵の予想市場評価額は15億3000万円と、びっくりするような高値になっている。

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