「ローカル飲食チェーン」コロナでもしぶとい理由 551HORAIや福田パンなどが見出した「生存戦略」
大阪の551HORAIといえば関西みやげの定番だったが、コロナ禍による観光客や出張の激減で売り上げもダウン。売り上げを牽引していた新大阪駅や関西国際空港の店舗も休業にせざるをえなかった。
その代わり地元民御用達の店舗は例年比100%以上の売り上げを叩き出し、かろうじて全体の業績をキープ。これもまた揺るぎないカリスマ性が発揮されたのではないか。
「人間と同じように、ピンチのときにその人(店)のパーソナリティが出ますから」
一朝一夕では成り立たない、店と客との信頼関係が非常時にものを言うのだ。
「ぎょうざの満洲」が危機を乗り越えられた理由
本の中では独自のビジネスセンスを発揮してコロナ禍を乗り切った事例も紹介されている。とりわけ思い切った戦略に出たのが、埼玉をはじめ首都圏を中心に100店舗(2021年7月時点)を展開するぎょうざの満洲だ。
もともと売り上げ全体の3割を占めていたテイクアウト用の生餃子は、週2回設けた特売日に限り通常320円から255円+税に値下げて好評を博していた。これを2020年4月〜5月には思い切って「毎日特売日」を実施。
期間中は連日飛ぶように売れ、テイクアウト用餃子の製造費前年比140%と過去最高を更新した。急ピッチの生産にあたっては、手の空いた他部署のスタッフを動員するなど、小回りの利く人事体制だったことも大きい。
「コロナの前から閉店時間は21時〜21時半と早め。これは『飲み屋ではなく料理屋だから、健康的な時間帯に夕ご飯を食べ終わってほしい』としていたからですが、そのおかげで緊急事態宣言の影響はそれほど受けずに済んだんです」
熊本を拠点に九州内で143店舗(2021年7月時点)をチェーン展開する「おべんとうのヒライ」。ちくわにポテトサラダを埋め込んで天ぷらにした「ちくわサラダ」といえばご存知の方も多いだろう。
ここは生産や営業部門で発生した余剰人員をそれまで外注していたクリーニングや野菜加工などにあてることで内製化。2020年4月には約1億円あった赤字から翌月には5000万円の黒字にまでV字回復させた。
「この本で登場するチェーンの社長さんはすべて2〜4世なんですが、意外にもフットワークが軽くて。取材の際も直々に電話をいただいたり、中には最寄り駅まで車で送ってもらえたりしました。その一種の身軽さが、代替わりの際の大胆な改革にもつながっている気がします」
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