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古舘伊知郎が分析「笑福亭鶴瓶のスゴイ雑談力」 組んだ相方が生き生きする司会のすごみ

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「えっ、今、何してたん?」

普通は、「驚かせてすいません。NHKですけど」とか言いますよね。そんなのまったくありません。おそらく、自分の顔は知られているから認識してくれるだろうと信じている。さらに、おばあさんが鶴瓶さんを見てビックリするだろうという保険もかかっている。

だから、「ビックリした?」じゃなくて、「何してたん?」と言えるんです。僕のこと驚かなくていいからね。こっちはちゃんとあなたを気遣っているからね。「何してたん?」のひと言には、そんな意味が込められていると思います。でもこれ、一歩間違うと振り込め詐欺ですよ。「おばあちゃん、元気? 何してたん? 印鑑持ってきて」みたいな。

ダダをこねて「音速で距離を詰める」

話しかけられたおばあちゃんは、「『何してたん?』って、え? なんで? そこにいるの? あー、ビックリした鶴瓶さん。あら、古舘さんも来てるの? どうしたの?」。気が動転しているのはおばあちゃんのほうなのに、「いや、ビックリした、おばあちゃん」って言いながら、もうおばあちゃん家で靴を脱ぎはじめるんですよ。

「え、鶴瓶さん。上がるの?」。おばあちゃんが聞いてくるそばで、「古舘さん、上がって、上がって」とここは自分の実家か! と言いたくなるような振る舞いをするわけです。しかもその後で図々しく、「せっかくだから魚沼産のコシヒカリでご飯を炊いてくれない?」って、おむすびをつくってもらったんですが、そういうときには逆に、「はよしてや。時間ないんや」ってあおりますからね。

それを受けて僕が、「ちょっと鶴瓶さん。そんな失礼な」ってたしなめる。絶対僕がそう注意することも全部わかったうえで、「はよしてや、時間ないんや」って言っているんですよ。

他人の家にいきなり上がり込んで、わざとダダをこねることで実家感を出す。音速で距離を詰める。鶴瓶さんじゃなかったら逮捕されますよ。あれはすごい芸当だなと改めて思いましたね。

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【一歩引いて相手を立てる】

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