古舘伊知郎が分析「笑福亭鶴瓶のスゴイ雑談力」 組んだ相方が生き生きする司会のすごみ
『鶴瓶の家族に乾杯』の実家感
鶴瓶さんの醸し出す「実家感」って、凄まじいものがありますよね。12年間務めた『報道ステーション』が終わったあと、NHKの『鶴瓶の家族に乾杯』に出させてもらったことがあります。
ステキな家族を求めて日本中を巡る〝ぶっつけ本番〟の旅番組。もちろん台本なんてありません。そのときは、新潟の南魚沼郡の米どころのロケでした。
本当に〝ぶっつけ〟で、村はずれの小さな神社で僕が待ち伏せしていると、鶴瓶さんが入ってきて、そこからカメラが回りはじめます。ものすごく久しぶりにお会いしたんですよ。そうしたら鶴瓶さん、僕を見つけるなりスーッと近づいてきて、「何や、そんなとこ隠れて。久々やー」って言ったんです。
僕だったら、久々の再会にちょっとじーんとしながらも、「野暮だけど、今までのことを振り返っていいかな」ってどうしてもいろいろとしゃべりたくなってしまう。でも、鶴瓶さんは、「何や、そんなところで隠れて。久々やー」とまるで同じ村の子ども同士が、「やっぱり、ここにいたー」っていうような感覚で話し出す。
「何で大人がそんなに自然なんですか?」とビックリするわけです。素直にそう言ったら、「何言ってんのや」とニコニコ。「ようわからんわ、言ってることが」と言われて、そのままワイワイしながらロケがはじまったんですが、僕としてはかなり感動するオープニングでした。南魚沼でのロケ中は、鶴瓶さんがちょっと前を歩いて先導してくれました。僕は、弟分のようについていくだけでいい。とっても楽でした。
鶴瓶さんはやっぱりすごいなと思ったのは、知らない人の農家の母屋に入っていくときです。僕だったら、「すいません。どなたかいらっしゃいますか~」とか、「すいません。突然来て申し訳ないんですけど」とか、声を張り上げてしまうんですけど、鶴瓶さんの場合は違います。ある農家の母屋を見て、「暗いやん、ここ」と鶴瓶さんが言ったら、ちょうどそこからおばあさんが出てきたんです。そうしたら、何て言ったと思います?
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