すき家「もうワンオペやめます」の本気度 創業32年目、初めての最終赤字見通し

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第三者委員会の報告書を受けて開いた7月31日の会見。「一緒に働いている方々に一部に過重な負担がいき、遺憾で反省している」と述べた小川会長(撮影:梅谷秀司)

出店については「やめるというのも一つの判断かもしれない。だが、お客様に愛されて成長してきたことを誇りに思っている。店をガンガン出すのではなくて、必要なところには出させていただきたい」(小川会長)と、今後も続ける方針を示した。

しかし、出店計画自体は下方修正しており、当初計画は出店60・退店ゼロだったものを、人手不足や委員会からの答申も踏まえて、出店38・退店28店に見直した。これで店舗純増は10店となり、前期の71店(出店85、退店14)から出店ペースはかなり落ちる。営業利益が当初見通しから大幅に低下し、退店ゼロの計画が28店に膨らんで特別損失も発生するため、通期の最終損益は13億円の赤字に沈む見通し。実際に赤字となれば創業以来、初のことだ。

業界最安値の牛丼価格は値上げ

加えて発表されたのが、牛丼価格の値上げだ。8月27日から牛丼並盛りの価格を270円(税込み)から291円に引き上げる。3月末まで大手3社の牛丼並盛りは280円で横一線だったが、4月からは吉野家が300円に、松屋は消費増税分を転嫁した290円に改定。一方、すき家は「増税で所得が目減りする中、お値打ち感のある牛丼を提供したい」(広報室)とし、値下げという逆張りの手法を打ち出した。これは1982年の創業以来、最安値だった。

ところが、今年4~6月までに同社が仕入れる牛丼用部位の平均価格が豪州産で36%、米国産で28%も上昇したことで前提は大幅に狂った。さらに、「経営努力を続けてきたが、時代の変化に対して労働条件を改善し、お客様へのサービス水準を上げていくため、その原資となる粗利益を確保して、経営のバランスをとらないといけない」(小川会長)として、値上げに舵を切った。

小川会長は6日の会見で、ワンオペの全店解消を決めたことについて、「24時間365日、お客様に来ていただく業態という意味では、基本的に変わらない。ただ、何が何でもやるのではなく、営業時間についてはフレキシブルな運用をやる。そういう意味にいおいて(ビジネスモデルを)変更する」と語った。創業から32年で店舗数は1984店(7月末現在)まで拡大したが、2000店という大台を前にすき家の展開は大きな転換点を迎えている。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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