それでも「すき家」は店を出す 第三者委員会がビジネスモデルの限界を指摘
「すき家において今年の2、3月にかけて、一部店舗が営業できなくなった。社会インフラとしてみんなで一生懸命やってきた中、せっかく温かい牛丼を食べたいとお越しいただいたお客様を失望させたことは、お詫び申し上げたい」
7月31日に行われたゼンショーホールディングス(HD)の会見は、年2回の決算説明以外、ほとんど公の場に出てこない小川賢太郎会長兼社長のお詫びから始まった。労働環境の改善を図るため、同社が5月に設置した第三者委員会から調査報告書が提出されたのを受けて、この会見が開かれた。
小川会長が姿を見せる1時間半前、同じ会場で会見した第三者委員会の久保利英明弁護士らは、「会社が短い時間で急成長を遂げた成功体験から、幹部の間に過剰労働を容認する文化が根強く、法令を軽視していた」と厳しく指摘。報告書の中では、「小川CEOは、これまでのビジネスモデルに限界を感じ始めていたものの、経営幹部の中に、この思いを共有し、共にビジネスモデルの転換を推進しようとする者はいなかった」とも記している。
解消されない「ワンオペ」
「一緒に働いているアルバイト、パートタイマーのみなさん、社員の方々に労働力不足ということで一部に過重な負担がいって、経営側としても遺憾で、反省している」。小川会長は会見で反省の弁を述べたが、委員会からの提言を受けて、どこまで改善を図るのかは必ずしも明確ではなかった。
たとえば、委員会から「過酷なもの」と指摘された深夜時間帯(22時~朝5時)の一人勤務体制(ワンオペ)がある。かつて、ワンオペ時に強盗被害が増加したため、ゼンショーHDは2011年10月、防犯対策の一環としてこれを順次解消すると発表。2011年末までに全店の60%、2012年3月末までには全店舗を目標に、「深夜の時間帯の複数勤務体制を確立する」と説明していた。実際2012年3月末時点で85%まで改善された。
ところが、足元では人手不足のタイミングも重なったこともあり、現在24時間営業する1500店のうち、約6割の店舗でワンオペが続いている。委員会では、「複数勤務体制を確立するとのリリースを行いながら、3年近くそれを実行していない会社の対応は問題である」とし、ワンオペの解消を「早期に実現すべき」と提言した。
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