手術する物資もない「ハイチ」大地震後の惨状 栄養不足や貧困が一段と深刻化する可能性
地震が起こったとき、ピエールさんは友人と一緒に教会を掃除していた。
「叔母には4人の子どもがいる。叔母は私たちのコミュニティで非常に活動的で、この教会で5年間ボランティアしていた」とファイザーさんは語る。 「彼女の夫はまだ死を受け入れていない。 叔母の死に直面することができていない」。
ジーン・エディ・デスラヴィネス牧師は、新型コロナウイルスによるパンデミックについて言及し、「両親たちが来月には子どもたちを再び学校に通わせ、このような厳しい1年の後に私たちのコミュニティに再び参加するように促すため」15日のミサの準備をしていたと述べた。「今では子どもたちを通わせる学校さえなくなってしまった」と牧師は述べ、自身の教会が運営する小学校も倒壊したと説明した。
「こういう小さな町では、教会が私たちのすべてだ」とデスラヴィネス牧師は語る。
遠隔地に政府からの支援はない
牧師の様子をうかがうために訪れたマーセリン市長のフェニシル・マルシウス氏は、自宅が倒壊したと語る。「当市には政府からの支援がない」とマルシウス氏。「おそらく、政府は都市でやるべきことが多く、こんな遠隔地のわれわれにまで支援することができないのだろう」。
レカイ郊外のマゼノドの町では、聖ユージーン礼拝堂の複合施設のほぼすべてが破壊された。同施設には教会が運営する神学校と中学校などがある。妹のソランジュ・ウォルターさん(26)が閉じ込められているメルチローデ・ウォルターさん(31)は「希望があるとは思えない」と語った。「昨日から妹の名前を呼んでコンクリートをたたいたが、何の反応もない」。
複合施設の運営を手伝っているコルネイユ・フォルトゥーナ牧師は、敷地内の住居が崩れ落ちたとき、自分はかろうじて生き残ったと語った。友人が彼を救出してくれるまで、玄関がレンガで塞がれ、閉じ込められた。「ハイチはあらゆる災害が発生する可能性のある国だ」とフォルトゥーナ牧師は述べる。「そして、いつも支援がないのだ」。
レカイ当局者は、西部地域全体ではわずか30人の医師しか働いていないと見ている。医師たちは現在、倒壊した建物からの何千人もの重傷者を治療するという未曾有の現実に直面している。
すべての主要病院が被害を受けた中、ある医師はレカイの空港近くに臨時手術室を設けるために夜を徹して働いた。レカイ総合病院では15日、外科医2人が限りある物資で8人を手術したが、ほとんどの人を断ることを余儀なくされた。手術後、患者たちはカリブ海の強い日差しの中、外来患者センターとなった駐車場にあるベッドへ運ばれた。