難病ALSで逝った父が家族に遺した「1冊のノート」

「ネオ・ヒューマン」が人類に与えてくれる希望

僕がお洋服を追求しようと思ったきっかけも、そうでした。学生の頃、あるショップのスタッフさんに、「そんなダサい格好してうち来たの?」と言われたんです。

外面がかっこ良くても、内面が汚い人がいる。僕は本当にかっこいいものを追求したい。めちゃめちゃかっこいいのに、さらに優しいとなれば最強で、それがお洒落なんじゃないか、と。

あの人のあの言葉がなければ、僕はいまの仕事をしていません。内面と外面をリンクさせてお洋服で変えていく、というのが僕の仕事の根幹なのです。

日常の一言で気がつくという経験は、実はみんな子どもの頃にしているんですよね。あの時、あの言葉にすごく傷ついたよな、うれしかったよなというように。そこに、その人の個性が入っているわけです。

日常に疑問を持ち、ルールからはみ出せ 

日常のささいなことから気づきを得ると同時に、自分がルールに縛られているということを自覚するには、何事にも疑問を持つことです。

みんなが「正しい」と思っている方法論はあっても、実際に成功している人はごくわずかですよね。そこで「あれ? みんな間違っているんじゃないのかな?」と思うことです。

僕は、子どもの頃よくそう思っていました。祖母が名のある書道家だったこともあって、僕の母は、文字へのこだわりがとても強かったんです。普段は温厚な人柄ですが、漢字に関してだけは「書き順をしっかりしなさい!」と、唯一僕をしかりつけていました。

でも僕は、「なんで書き順を覚えなきゃいけないんだろう? 読めればいいじゃん」と思ったんです。それは親に対する反抗心ですが、みんなが「正しい」と思っていることが、違うという視点もあると気がついた最初だったと思います。

大人になってからも、「金銭的な成功をしても、やりたいことをやっているように見えても、幸せそうな顔をしている人はあまりいない。ということは、みんな間違ってるんじゃないか?」というようなことをよく考えるようになりました。

そこから、資本主義というものが気になって勉強したところ、そもそも資本主義とは、最高の決定は出せないけど、最悪の決定もとらないというのが根本的な概念だとわかりました。

多くの人がやっていることは、たしかに間違ってはいない。でも、正解でもない。すると、もし成功したいとか、理想の人生を暮らしたいと思うならば、このルールから「どうはみ出すか」を考えなければなりません。みんながやっていることが正しいんだとつねに考えていては、成功できないわけです。

もちろん、従うべきルールもあります。でも、無自覚であることと、自覚して従うということは違います。この感覚は、ピーターさんと同じかもしれませんね。

『ネオ・ヒューマン』には、こういった学びがありますし、ALS患者と家族の希望になるとともに、「諦めなければ人生は好転する」という人類への気づきともなる1冊だと思います。

(構成:泉美木蓮)

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