「ドムドム」が仕掛ける高級和牛バーガーの正体 「丸ごとカニバーガー」だけではない復活施策

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日本マクドナルドを始めとして、日本にハンバーガーチェーンはいくつもあるが、ブランドならではの独自性あるメニューをヒットさせるのはなかなか難しい。結果として、どこでも同じようなバーガーが並んでしまうということになる。しかしその中にあってドムドムは別の次元で独自の路線を行っている印象を受ける。

しかしドムドムハンバーガーを飲食チェーンとして客観視すると、全国で27店舗という規模では、とくに食材の仕入れや配送といったコスト面で、チェーンとしての力を発揮することは難しいと感じられる。アクセス面でも不利で、「そこにたまたまあったから」店に入る、機会来店の客はまず望めない。

しかしそこでドムドムの強みとなっているのが、ブランドの力である。今は実店舗を見かけることがなくなっていても、「ドムドム」と聞いて「懐かしい」「聞いたことがある」と思う人が少なからず存在する。

そのブランドの力を活用し、成長させていこうというのが藤﨑氏の戦略のようだ。

例えば就任後すぐにイベントへの出店を活発化したのもその一つ。イベントへの積極的な出店は多くの人の脳裏でドムドムという存在を復活させたほか、伝説メニュー「まるごと!!カニバーガー」開発や、新業態オープンにもつながった。

ECサイトがコロナ禍での売り上げに貢献

またアパレルメーカーとのコラボやECサイトでのグッズ販売も新しい試みだ。

ただ、ECサイトはブランド戦略というよりはコロナ対策からの発想だったという。

ドムドムフードサービス代表取締役社長の藤﨑忍氏。政治家である夫が病に倒れたことをきっかけに、39歳で専業主婦からSHIBUYA109のアパレルショップ店長に転身。商店を営んでいた実家の生育環境で培われた商才と人並み以上の努力で年商を倍増させる。退職後は新橋で居酒屋を開業し、またたく間に繁盛店に。1年後に2店舗目をオープン。その手腕を買われ2017年11月ドムドムフードサービス入社、メニュー開発に関わることに。2018年8月より現職(撮影:尾形文繁)

「2020年の5月、マスクが売場になくなっていた時期に従業員のためにオリジナルのマスクを作りました。深刻なマスク不足だったためお客様にお分けしようと、レジ横で350円で販売したところ、行列ができる事態に。密を作ってしまっては本末転倒なので、すぐに店頭販売を中止し、ECへと切り換えました。素材もよくて使い心地がよいということで、16万枚を販売させていただきました」(藤﨑氏)

ECサイトではその他、Tシャツやぞうのキャラクター「どむぞうくん」のぬいぐるみなどがラインナップされており、リピート率48%の人気サイトになっているそうだ。

このECサイトはコロナ禍での売り上げに貢献。コロナの影響で2カ月の間2店舗が休業したこともあり、2021年3月期の店舗売り上げは前年比98%だったが、全体では109%と前年比アップを遂げることができた。

「ドムドムやツリツリのサービスには私の個性が表れているということではないんですよ。小さい会社なので、社員みんなの思いが詰まっています。またこれまでブランドを思ってきてくださったお客様やスタッフといっしょに、さらに50年後まで続くブランドを育てていきたいと考えています」

新業態ツリツリはドムドムのブランド力を直接客に伝える発信拠点であり、同社にとって大きな一歩となる。ドムドム再生なるか、行く末を見守りたい。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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