陸自の個人装備が心もとなさすぎて不安になる訳 生存性の低さだけでなく疲弊も招いてしまう

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自衛隊は装備導入に際して「わが国固有の環境に合致するものが必要」と称して国産品を開発するが、夏場は熱帯並みの湿度と35℃前後の気温になるにもかかわらず、プレート・キャリアを採用していない点は疑問だ。

熱中症対策関連では水分補給システムのハイドレーションも必要だが一部のエリート部隊だけ配備されている。パキスタン軍ですら普通に導入されているにもかかわらずだ。しかも「贅沢」なのはむしろ現用の水筒のほうだ。

ハイドレーションはチューブが付いたポリマー製の水筒だ。背負ったり、バックパックに装着して使用する。このため歩きながらこまめに水分が補給できる。こまめに水を飲むことで、効率良く身体に水分が吸収し、バテ防止や熱中症対策に有効だ。先進国の軍隊では標準装備となっている。

普通の水筒にもかかわらず防衛省の調達コストは1個7000円。ハイドレーションより高価だ。この手の水筒は一般の市場ではカバー付きで1000円程度だ。防衛省の調達コストがこれだけ高いのは国産、特定の業者にこだわり、「中抜き」があるのではないかと疑いたくなる。

防御力の劣るヘルメットへの不安

ヘルメットは1988年採用の88式鉄帽の改良型である88式鉄帽2型が2013年から採用されているが遅々として配備が進んでいない。88式鉄帽2型でも砲弾の破片に近似した弾速の拳銃弾が命中した際、10センチほど凹む。対して同時代にアメリカ軍のそれは、その拳銃弾よりも弾速が速いトカレフ拳銃弾で撃たれても凹みは2.5センチ以内である。

帝人の防弾繊維を使ったヘルメットのカッタウェイ。左がアラミド系繊維を用いたヘルメット、右がポリエチレン系のの繊維を用いたヘルメット(筆者撮影)
フランス軍の最新型ヘルメット。衝撃吸収パッドを採用している(筆者撮影)

無論ヘルメットが想定しているのは主として砲弾の破片などからの頭部の防御だが、防御力が劣っていることは間違いない。貫通しなくとも、10センチもヘルメットが凹めば頭蓋が潰れてしまう恐れがある。しかも最近のヘルメットも主流である4点式のハーネスにはなったが、現代の一線級の性能はないと言わざるをえない。アメリカ軍などのヘルメットと違い小銃弾を防げないだろう。

防弾繊維メーカーが展示するヘルメットとフェイスガード(筆者撮影)

他国ではクッションは小型の物をベルクロで張り付けるものを採用しているが、自衛隊にはこれもない。このタイプは爆風の侵入を防ぎ、被弾時の衝撃を大きく緩衝し、脳の受ける損傷を極小化できる。またクッションのサイズも貼る場所も選べるし、新型のクッションが出れば容易に貼り替えることもできる。88式鉄帽の後継ヘルメットは住友ベークライトが開発し、近く配備予定だが、関係者によるとこれはいまだにハンモック式を使用し、軽量化はされているが防御力は低く、小銃弾には耐えられないようだ。これは戦闘ヘルメットを想定していないJIS規格にこだわっているためだ。

目を保護するためのサングラス型のポリカーボネート製アイウェアも支給されていない。頭部は被弾が多い場所であり、特に目は傷つきやすく、負傷の回復が難しく、盲目になる可能性が高まってしまう。失明を避けるためにはゴーグルだけではなく、この手のグラスは不可欠だ。実際にアメリカ軍は使用しているのに、なぜそれが支給されているのかを考えているのだろうか。

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