陸自の機関銃装備体制に穴がありすぎて不安な訳 必要な性能品質をリーズナブルに調達できてない

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10式戦車に搭載されている12.7ミリ機関銃(写真:筆者撮影)
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陸自の普通科(歩兵)の7.62ミリ62式機銃は廃止され、89式小銃と同じ弾薬を使う5.56ミリMINIMIで置き換えられた。世界を見渡してこのような決定をした「陸軍」は陸自ぐらいである。普通の軍隊では5.56ミリ機銃は分隊支援火器として使用されており、それとは別に7.62ミリ機銃を運用している。

7.62ミリ機銃廃止の理由を陸上自衛隊幕僚監部(以下陸幕)は交戦距離が短いという「我が国固有の環境」に合わせた決定と説明している。であれば装甲車輌の同軸機銃も7.62ミリでなく5.56ミリ機銃でいいわけだが、そうはなっていない。

射程が長く、貫通力の強い7.62ミリ機銃を持った敵と撃ち合えば射程においても、威力においても圧倒的に不利である。敵は陸自普通科の射程外から攻撃できるし、同じ距離で撃ち合うにしても陸自の5.56ミリ弾では相手のバリケードは抜けなくても、相手の7.62ミリ弾ならば同じようなバリケードを貫通できる。

5.56ミリMINIMI置き換えの理由は人員削減?

62式機銃(写真:筆者撮影)

本当の理由は人員削減だろうと筆者は推測している。7.62ミリ機銃だと最低でも射手と補弾手の2人が必要だ。しかも小銃小隊と別にである。ところが5.56ミリMINIMIであれば1名で運用できて、分隊内の構成員ですむ。陸自は慢性的な人手不足と言われている。本来ならば普通科連隊の数を減らして連隊の定数や編成を充実させたほうがいいのだが、それをやると連隊長のポストが減ってしまうからだろう。実戦をしない前提ならば合理的な考え方である。

そのMINIMIだが30年かけても調達が完了せずに、現在は不足分の約800丁分のトライアルを行っている。そのトライアルから住友重機械工業が撤退し、将来の機銃生産事業からも撤退する。これは筆者が「スクープ!住友重機械が機関銃生産から撤退へ」(2021年4月15日配信)で報じた通りだ。

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