李登輝・元台湾総統--ECFAは香港・マカオ化の一歩、国民投票で阻止し、FTA締結を

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特にエネルギー問題は、イノベーションの最たるものであるが、これまで、馬英九総統は「エネルギー」の「エ」の字も言ったことがない。たとえば、コメの減反政策。この点、日本は台湾よりきっちりやっている。

減反政策だが、台湾では約2200平方キロメートルの土地が空いていて、ここに穀物などをうまく植えてブタノールなどの代替エネルギーを生み出せば、おそらく現在のエネルギー消費量の10分の1は賄えると考えるが、誰もそんなことを考えていない。エネルギー再生という問題は、どうしてもやらなければいけない。

目下、台湾のCO2排出量は世界で8位。ところが増加率は世界一。解決していかなければいけない問題なのに、馬英九総統は何もやっていない。

一方で、経済のグローバル化がもたらす問題にも手が着けられていない。たとえば農産物。農産物はどんどん自国に入れるわけにはいかない。安全性の問題、たとえば農薬や肥料や害虫、いろんな病気など、日本人もわかっていると思うが、米国産の牛肉や中国の毒入りギョーザなどを見てもわかる。台湾では今、松阪牛が入らないという問題も大きな問題だ。

こんな問題があるから、政府はバランスを取らないといけない。危機と機会、この2つのバランスをうまく取った政策をどう採って、自国の発展を進めるべきか。これこそ肝要だ。

--ECFAについてはどうお考えですか。

ECFAには3つの大きな問題がある。1つは中国の市場にのみ込まれ、台湾の主体性がなくなってしまうこと。次に失業問題や貧富格差の拡大など台湾社会にも強い影響を及ぼす。そして、政治的に台湾の主権も消滅しかねない。

先ほど述べた台湾の状況で、馬英九総統は中国大陸に依存すれば何とかしてもらえると思っている。私はこんな考えには大反対だ。

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