李登輝・元台湾総統--ECFAは香港・マカオ化の一歩、国民投票で阻止し、FTA締結を

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もう1つは、首相は国民との間が密接であることが必要。私が2009年の訪日で、東京・日比谷公会堂で講演をしたときに、坂本龍馬の「船中八策」を紹介した。これに基づいた改革をやったらどうか、とね。なかでも、首相は公選にしたらどうか。

今の首相は国民との関係がない。結局、政党内の根回しで決めている。国民から見ると遠いよね。首相、総理大臣は国民とものすごく近い関係に持っていくのは非常に重要なことだと思う。

国民党を分裂させればよい

--台湾も、年末に台北市や高雄市など5大都市の首長を選ぶ選挙があります。野党・民進党は蔡英文主席も、新しくできる「新北市」の市長候補に名乗りを上げました。与党も数多くの大物が出ています。台湾の政治は今後どうなりそうですか。

台湾でも坂本龍馬みたいな人を選ばなければいけない。こんな人はあまりいないけど。彼は明治維新前に薩長をうまくまとめ上げた。実力がある人がいい。今の台湾には、そういう人が核にならなければいけない。

いちばんいいのは、この5大都市選挙で民進党に勝たせる。そして、国民党を分裂させる。台湾派と中国派とにね。国民党が5大都市選挙で負けて、「馬総統ではだめだ」という形に持っていく。選挙で負ければ国民党内部で指導する力が馬総統にはなくなるからね。

すると、民進党とかほかの政党とも連携することができる。結果、挙国一致のように、総統は国民党、副総統は民進党、ほかの政党から行政院長(行政のトップ)と、半ば薩長連盟のような状態が起きるだろう。

--その坂本龍馬役は李登輝さんがやられるんですか。

いやいや、違う(笑)。国民党内部、そして民進党内部の問題だから。働きかけはやはり必要だが。いずれにしても、台湾が国際社会で主体性を持って存在できる。そんな台湾になってくれれば、私はもう思い残すことはない。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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