「子どものトラブル」大人が関わるときに重要な事

工藤勇一氏が説くいじめを学びにつなげる支援

「いじめ」に対する捉え方や向き合い方について、横浜創英中学・高校の工藤勇一校長に話を聞きました(写真:PAKUTASO)

文部科学省によると、令和元(2019)年のいじめ認知件数は61万2496件。認知した学校の数は実に全学校の82.6%に上る。

https://journal.ridilover.jp/issues/500?journal_user=journal_user_3691&journal_token=20200318134226P5qtOfamzjWgkEvnKY
当記事は「リディラバジャーナル」からの転載です(元記事はこちら)。同サイトは有料会員制メディアです。リディラバの考え方はこちらをご覧ください。

2006年には12万4898件だったことを踏まえると、悪化の一途をたどっているようにも見える。

しかし、横浜創英中学・高校の工藤勇一校長は「いじめの定義が広くなったことで認知件数が増えている。また、今は調査の目的が『苦しんでいる人を探し出す』ことに変わってきているため、件数が増えるのは正しい傾向でもある」と指摘する。

今回は「いじめ」に対する捉え方や向き合い方のあるべき姿について、工藤さんに伺った。

<工藤勇一さん>
1984年から山形県の中学校で教員を5年間務めた後、1989年から東京都の教員になる。その後、東京都や目黒区の教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長などを歴任。2014年に麴町中学校の校長に就任すると、宿題や定期テスト、頭髪・服装指導、担任制をすべて廃止。世の中の「当たり前」をやめるという学校改革で話題沸騰した。2020年からは横浜創英中学・高等学校で校長を務める。

いじめの定義も変わってきた

工藤さんによると、いじめ問題が大きく注目を浴びる度、文部科学省は学校で発生したいじめを見落とすことのないよう定義を広げ、毎年調査を重ねてきた。

1986年
「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じている者であって、学校としてその事実を確認しているもの」 

2013年
「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のあるほかの児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」 

つまり、現在の認知件数の中には昔の定義ではいじめだと認められなかったものも数多く含まれており、それが件数を押し上げた大きな要因となっているという。

文科省の調査は「最初はいじめをゼロにするためのものでしたが、今は苦しんでいる人がいないかを探し出す調査なんです」と、工藤さんは話す。

工藤さんが新宿区の教育委員会に在籍していたとき、同区は人口比率でのいじめ認知件数が最も多かったという。

「これは僕が『とにかくすべての数を上げてください』と学校にお願いした結果です。いじめというのは大人に見えないようにやるもので、もともと見えづらいものです。

でも最悪の場合、子どもが命を失ってしまうこともあるんです。だからこれは数の大小が大事なんじゃなくて、子どもがどんな様子なのか、みんな敏感になってほしいということなんです」

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