大阪王将が「街中華モデル」戦略で見いだす勝機 「地域特性」を取り入れたオリジナルメニュー

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街中華モデルの新バージョンでは、窓口から奥を見渡せる縦型厨房を採用し、テイクアウト率の向上を狙う(撮影:尾形文繁)

この街中華モデル、ビジネス的な利点に収まらない、いろいろな可能性を秘めているところが興味深い。冒頭で紹介したように地域の特性を前面に出せば、街の魅力の発信となる。8月7日にオープンする東松原店では、同じ町内の豆腐屋の商品を使ってのメニューなど、地域活性化につなげるアイデアが用いられている。またユニークな例が、8月22日にオープンする武蔵野緑町栄楽店(武蔵野市)だ。同店について植月氏は次のように説明する。

「地元で63年店を営んできた中華料理屋さんが古希を迎え、後継者もいないしコロナ禍もあって店をたたむことになった。そこでオーナーさんと話をし、店舗を借りるとともに、メニューも引き継ぐことになりました。オーナーさんはレシピも教えてあげる、食器も使っていいよと提供してくださり、大阪王将の開店を応援してくださっています。街中華は全国に6万軒とも言われ、後継者問題を抱えている店舗も非常に多くあります。街中華モデルで課題解決を探ることができればと考えています」

「生餃子の持ち帰り」を強化

上記、地域密着型店舗としての戦略について説明してきたが、全体に関わる改革ももちろんあった。

まず看板商品である餃子も原点回帰を図って創業当時の味に近づけたという。具体的には、スパイスの配合を変更しより食べやすくしたことや、キャベツを増量、白ネギをニラに変更したことなどだそう。

さらにテイクアウト対応とともに強化しているのが、生餃子の持ち帰り訴求だ。

これはとくに関東地域で掲げている目標。同社のルーツ、大阪には生餃子の持ち帰り文化がすでにあるのだが、関東ではこれまでなかなか定着させることができなかった。

その理由はさまざまだが、まとめると、1、関東では、プロが焼いた餃子=商品価値と捉える(プロでなくては上手に焼けない) 2、関東では「1人前」の定義があいまい、などが挙げられるという。

「生餃子を持ち帰り、焼きたてでおいしく食べていただきたいという思いがあります。利用の仕方が店内からテイクアウトへと移行している今なら、関東でも無理なく取り入れていただけるのではないかと考えました。それから1人前の定義ですが、関西では1人前が6個と決まっている。関東は4個だったり5個だったりと、バラバラです。また購入する量も関東と関西では違うんですね。4人家族なら8人前を頼むのが関西。関東だと2人前になります。こうした違いを踏まえて、わかりやすく『30個1190円』など、個数で注文できるように変えました」(植月氏)

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