「会社のお荷物になる人事」「役に立つ人事」の差 経営者・事業責任者が明かす「人事部」への不満

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「これだけ事業環境や人材を巡る状況が変わると、人事関連の制度も色々変わってしかるべきなのに、この7年ほど人事部からは制度改革の提案が一切ありません。先日も、他社がタレントマネジメントを導入したと聞いて人事部長に尋ねると、『至急、当社での必要性について検討します』と言う始末。ちょっと話になりません」(専門商社・経営者)

「当社では、海外展開・DX化・新規事業などに対応し、多彩な人材が必要です。人に関することで人事部に相談しても、むにゃむにゃ言うだけで、まったく相談相手にならない。事業のことを知らず、かと言って社員のことも知らず。組合対策をやっていれば人事部が大きな顔をできた時代は、とうの昔に終わっているんですがね」(エネルギー・経営者)

もちろん、批判一色というわけではなく、人事部門の活動に感謝する意見もいくつかありました。

「私の店でメンタルヘルス不調で休職していた社員が復帰してきたとき、人事担当者が親身に対応してくれて、とても助かりました」(小売、店長)

「コロナ禍で職場でのOJTが難しくなる中、新人・若手の育成について教育担当者が色々と相談に乗ってくれました」(機械・業務部門マネジャー)

ただ、これらは、個々の人事担当者が頑張ってたまたま良い対応をしたという印象。組織としての人事部門は、事業部門にとっても経営者にとっても、あまり頼りにならない存在になっているようです。

人事部側の言い分

人事部門の側にも言い分があろうと考え、今回、人事部門のマネジャーにも話を聞きました。しかし、事業部門や経営者が人事部門に不満を持っていることについて、反論はほとんどなく、「よく理解できる」と率直に認める意見が多く聞かれました。

「人事部では、最近とみに色んな対応が後手に回るようになっています。昨年からは『コロナ対応で忙しい』が合言葉になっていますが、完全な言い訳。実際には、コロナ以外でもあまりにも人を巡る社会や法制度の変化が激しいので、何からどう手をつけていいのかわからず、右往左往しているというのが実態です。という泣き言は、社内では言わないようにしていますがね」(物流・人事部長)

「各部門にリストラをお願いする手前、人事部は他部門よりも厳しく人員削減を実施しました。そのため、残ったメンバーの業務負荷が増え、オペレーションに忙殺され、前向きな仕事をできなくなりました。人事部のメンバーはすっかり疲弊し、有望な若手の離職が増え、人を扱う人事部門が人の問題で真っ先に崩壊しそうな状態です」(電機・人事部マネジャー)

人事部門の関係者の話を総合すると、まず近年のリストラで人事部門の人員が減り、業務負荷が増えました。それを受けて人事部門は、教育・給与計算・福利厚生といった業務をアウトソーシングしたりシェアド・サービス化(間接業務の集約化)し、効率化に努めました。

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