一歩前進「有楽町線延伸」、どんな場所を通るのか 地下鉄が実現してもバスとの兼ね合いが課題

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住吉は半蔵門線と都営新宿線の乗り換え駅であり、都バスのバス停はあるが、ターミナルでもない。拠点となっているのは、やはり隣の錦糸町だ。現在、錦糸町駅前―住吉駅前―東陽町駅前―豊洲駅前間を直通する都バスの系統はなく、東陽町駅前での乗り換えが必要だ。錦13甲系統なら錦糸町から豊洲まで乗り換えなしで行けるが、東陽町駅前を経由しない。

都バス東22系統。住吉駅前経由で錦糸町駅前と東陽町駅前を結ぶ(筆者撮影)

錦糸町駅前―東陽町駅前間の主力系統は東22系統だ。8号線が地下を通る予定の四ツ目通りを経由し、平日朝ラッシュ時は2~3分間隔、日中でも5~6分間隔で走る。

沿線は昔ながらの住宅と高層マンション、大小の事業所が混在する下町らしい下町だ。利用客は非常に多く、朝夕は通勤通学客、日中は高齢者を中心に都バスはにぎわう。8号線は住吉と東陽町の間にも駅を設置する構想で、どの鉄道駅からも遠い、現在の千田バス停付近かと想像できる。

ただ、途中各バス停でも必ず乗降があるため、地下鉄だけで需要すべてを代替することも難しいと思われる。副都心線池袋―新宿三丁目―渋谷間が開業しても、真上の明治通りを走る渋谷駅東口―池袋駅東口間などの都バス池86系統は廃止にならなかった。

停留所間隔は地下鉄駅より密で、地下深くまで昇り降りするより、道端から乗れるバスのほうが便利と考える利用客は多いからだ。東京都や江東区としては、地下鉄が実現しても、バスとの兼ね合いが課題となるだろう。

ビジネスエリアの未来に期待?

東陽町は江東区の中心地である一方、各分野の著名な企業の本社が集まっているところ。東陽町駅は、1日平均約12万2000人あまり(2019年度)と、他の鉄道との接続がない東西線の駅ではいちばん乗降客が多かった。

駅周辺にはビジネスホテルが集まり、東京国際空港との間にリムジンバスも走る。コロナ禍に見舞われた2020年度には、他の駅が軒並み30~40%以上もの乗降客減に見舞われたのに対し、東陽町は約9万7000人を確保。20.4%減に留まった。

東西線は朝ラッシュ時の混雑率が非常に高い路線としても知られる。西船橋から都心方面へ向かうと門前仲町。東京メトロに限るとほぼ都心に近い茅場町まで他の鉄道との接続駅がなく、利用客が集中しやすい線形が一因だ。東陽町から住吉、豊洲へ、都心部を経由しない「分流」ができるようになると、混雑軽減の一助となる。押上、豊洲方面への新しいビジネス客の流れも期待できそうだ。

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