一歩前進「有楽町線延伸」、どんな場所を通るのか 地下鉄が実現してもバスとの兼ね合いが課題

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豊洲は1988年の開業当時からホームは2面で、外側を通る有楽町線に対し、内側に8号線用の2本の線路が敷かれるスペースが用意されていた。後には線路が実際に敷かれ、有楽町線列車の発着や留置に使われていた時期もある。

現在では駅自体の利用客の急増により、上部に仮設の蓋をして2面のホームを一体化し、ラッシュ時の混雑緩和を図っている。すでにホームドアは設置されており、少々、異様な姿だ。新木場側のホーム端から見ると、内側2線の続きは、住吉のほうへ曲がったトンネルとなっているのがわかる。

東京メトロ半蔵門線・都営新宿線の住吉駅(筆者撮影)

一方、2003年開業の半蔵門線住吉駅は、敷地の関係から、渋谷方面行きホーム(地下3階)と押上方面行きホーム(地下4階)が上下に重なる構造である。どちらも、半蔵門線が発着する線路のホーム対面側に線路が敷かれ、柵でふさがれている。これが8号線用で、現在はやはり列車の留置に使われている。

江東区の南北方向の交通は不便

今回の答申によって建設へ向けて一歩前進したことは確かだ。地元の江東区は、長年、区内の南北方向の軌道系交通機関の整備を訴え、促進してきた。50年来の悲願だ。では現在、都バスによって担われている豊洲―住吉間は、どのような状況なのか。実際にバスを乗り継ぎつつ沿線の様子を見て、開業するとどのような路線となるのかを想像してみた。

江東区の人口は、2021年7月1日現在で約52万人。特別区(東京23区)の中では8番目に多く、姫路市や宇都宮市に匹敵する。区役所は東京メトロ東陽町駅近くにある。しかし、地下鉄などの軌道系交通機関が、都心部へと向かう東西方向が先んじて整備された結果、南北方向は都バスに頼らざるをえず、交通渋滞と相まって、区内の移動にも苦労するようになっている。

試みに東陽町駅から、隣の墨田区に位置するが、商業地で江東区北部からの訪問者も多いであろう錦糸町駅への公共交通機関を使った移動をサイトで検索してみる。すると、都バスで約16分のルートがまず示される。ただ、経由する四ツ目通りには朝7時30分から9時までの間、バス専用レーンが設定されているものの、ラッシュ時に時刻通り走れるかどうかがバスの弱点でもある。

これに対し、東陽町から東京メトロ東西線で門前仲町、都営大江戸線に乗り換えて清澄白河、さらに東京メトロ半蔵門線で錦糸町というルートだと、約20分で確実に到達できる。ただし、都バスの運賃が210円なのに対し、地下鉄ルートは450円かかる。

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