「ウマ娘」無双!サイバー、利益5倍決算のすごみ 広告も絶好調、アベマは赤字縮小だが残る課題

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ウマ娘の貢献は確かに顕著だが、上方修正の要因についてサイバーエージェントの藤田晋社長は「ゲーム事業や広告事業など、全般的に想定を上回った」と強調。実際、主力の広告事業や、アベマを含むメディア事業でも着実な成長を見せた。

広告事業は2020年の同時期、コロナ禍における広告主の出稿控えの影響を受けたが、この4~6月は売上高が前年同期比27%増となる818億円で着地。通常は3月決算の広告主が期末に予算を消化するため、売上高は1~3月をピークに4~6月は減る。だが今期は4~6月が1~3月を上回った。

広告の種類別で最大の稼ぎ頭が、グーグルやヤフーなどの検索連動広告。ユーザーが検索するキーワードに応じて表示されるテキストの広告のことで、サイバーの広告事業の4分の1近くを占める。とくにグーグルの割合が大きい。グーグル自身の決算でも検索広告は2ケタ成長を続けており、ここ日本も例外ではない。

「検索広告はわれわれの強みが発揮しやすい。代理店の中でのシェアも上がっている」(サイバーのIR担当者)。同社は広告事業だけでも年間数百人規模の新卒採用を行っており、豊富に人員をかけた運用最適化を得意とする。広告効果の高い文章や画像を機械学習で自動的に生成するサービスの訴求効果もあるという。

アベマも視聴者数が約1年ぶり最高水準に

アベマを中心としたメディア事業も、4~6月は売上高が前年同期比1.5倍の199億円となった。利益面では38億円の営業損失を計上したが、赤字幅は縮小傾向。競輪など公営競技のネット券売サービス「WINTICKET(ウィンチケット)」など、アベマの周辺事業の売上高が前年同期比10倍以上となったことが大きい。

アベマ自体の週間アクティブユーザー数は、2020年4月からの第1回緊急事態宣言中に達した1490万人をピークにやや減少傾向にあった。だが足元では、アメリカ・メジャーリーグの試合中継などスポーツコンテンツが後押しし、7月に入って約1年ぶりに1400万人台に戻った。

一方で、このユーザー数を「お金に変える」取り組みは道半ば。決算資料を見る限り、アベマの広告収入や月額課金収入は他事業に比べ伸びが小さい。会社全体で見れば、番組制作などへの投資原資は十分にある。ただ、今後の継続性に鑑みれば、事業単独での黒字化も待たれる。

ゲーム業界と広告業界というサイバーエージェントにとっての主戦場では、すでに確固たるポジションを得た。余力のある今だからこそ、アベマではより大胆な戦略が求められそうだ。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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