菅政権「コロナ敗戦」で繰り返される「失敗の本質」 真の課題設定に求められる「インテグリティ」
今、自動車業界では、自動運転車に注目が集まっています。これは従来の自動車の概念を超えたもので「スマホにタイヤがついたもの」と言ったほうが正確でしょう。いずれは自動運転車が主流になることは間違いありません。あるいは自動運転車を動かすのは、もはやクルマではなくグーグルかどこかが構築したシステムになっているかもしれない。
「そのシステムと接続しないクルマは都内には入れません。その代わり都内では一切事故はありません」ということになっているのかもしれない。そうなったとき、今の自動車メーカーが作るのはただの箱です。トヨタやホンダ、日産という会社そのものは残っているかもしれないけれど、モビリティーのシステムの下請けになってしまうでしょう。
同じようなことが、あらゆる産業に言えます。このような時代には、抜本からビジネスモデルを変えなければ生き残れない。そのときの基準として「どういう社会が今よりよい社会なのか」とか、「何がより美しい生き方なのか」が重要になると思います。
理想を持つ経営者に学ぶ「課題設定力」
インテグリティの条件の1つである、「理想を持って課題設定ができる力」。それを持っている経営者を、私は学生時代から知っています。リクシルの代表執行役社長兼CEOに復帰した瀬戸欣哉さんです。大学に入学した1979年の4月、お互いが18歳のときから、もう40年以上の付き合いになります。
彼は住友商事にいたとき、社内ベンチャーで現在の「モノタロウ」という工場副資材の通販サイトを創業しました。その前に私は瀬戸さんから、「こんなビジネスを考えているのだけど、面白いと思う?」と聞かれました。
つまり、現在の工場副資材というのは流通が多段階に分かれている。ネジ1本が何段階もの流通段階を経て取引されているので、値段も高くなるし、手に入るまで時間もかかる。でもインターネットという技術を使ったら、一物一価となり、高い物を買わされている人は少なくなるのではないか。
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