菅政権「コロナ敗戦」で繰り返される「失敗の本質」 真の課題設定に求められる「インテグリティ」

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課題設定力のある人は、たとえば経営者ならば、次のような発想をすると思います。

今自分たちが携わっている産業で、たとえば利益率が落ちているとしましょう。それには何か原因があるはずです。日本の中では強くても、外国で強いプレイヤーが出てきているのかもしれないし、まったく異なる業界からやってきたプレイヤーにシェアを奪われつつあるのかもしれない。とくに今はテクノロジー業界から、自分たちの仕事を代替するプレイヤーが出てくることが多い。

そういうとき、多くの経営者は狭い範囲で、自分たちの仕事やそのやり方を変えようとします。短期的に利益を回復させようと動く。しかしそれでは次の年も同じことをしないといけなくなります。

そうではなくて、「あっ、これは産業が変わる局面なんだ」と気づいたら、「自分たちは今失うものがあろうとも、果敢に前に出ていって、その産業や自社のポジションも変えなければいけない」と考えるのが、産業を変えられる人です。

たとえば今まではモノを売っていたけれど、それだけではレッドオーシャンで激しい競争にさらされる。日本企業にできることは、韓国企業でも、台湾企業でも、中国企業でもできる。そうではなくて、そこにサービスをつけて産業を変えてはどうか。

社内の軋轢を乗り越えられるか?

サービスを作るにはかなりテクノロジーがいる。自分たちにテクノロジーがないのであれば、テクノロジーを持っている会社と組むか、買収を考えるところまで行くでしょう。

しかしこれを実行するには、社内で大きな軋轢を生むことは容易に想像できるでしょう。今のところはモノづくりをしていれば商売が成り立つのだから「何でそんなことしなければいけないの?」と反発される。それを乗り越えてこそ産業を変えることができるわけですから、ちょっと会社の経営をよくするとか、そういうことではありません。

インテグリティのある人は、産業自体を変えて「こういう世の中のほうがいいんだ」という理想を描くことができる。そしてそのビジョンに賛同した人がそれについていくものです。

社会を変えようと言わない限り、会社は変わらない。もし10年後も生き残っているとしたら、その会社は変わっているということだし、会社が変われなかったら10年後に生き残っている可能性は低いでしょう。

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