菅政権「コロナ敗戦」で繰り返される「失敗の本質」 真の課題設定に求められる「インテグリティ」
これまでの時代は、「何か明確な問題があって、その答えを探す」ことができれば優秀だと認めてもらえました。このときに必要なのは、中学入試のように、あるパターンの思考をすれば問題を因数分解できて、問題を解くことができる能力です。これはこれで大事かもしれません。しかしある程度の能力があれば、問題解決はできることが多いのです。
これからのビジネスにおいては、そもそも何が問題なのか、問題を定義する能力のほうが重要です。しかし課題や問題を定義すると言っても、どうすればいいのかわからないかもしれません。
課題や問題を定義するためには、「世界は、社会はこのようであるべきだ」という理想を持つことです。理想があれば現実とのギャップが見えてきます。
「未来から学ぶ」ことができるか?
別の言い方をすれば、「未来から学ぶ」ということです。過去からの発展と自らの問題意識を重ね合わせると、あるべき未来の姿が見えてくる。その実現に確信を持てる。歴史を学ぶと言っても、単に過去から学ぶだけでなく、未来を見通し、そこから直観的になすべき決断をする。
今の世の中は、「世界はこうあるべきだ」と、青臭い理想論を語る人が少ないのではないでしょうか。理想を語ると、すぐに「そんなこと、簡単じゃないよ」とか、「現実を知らないからそんなことが言えるのだよ」とか言われてしまう。
若い人の起業が増えているなど新しい時代が来る予感もありますが、まだまだ日本全体のビジネス・コミュニティーの新陳代謝を早めるまでには行っていない。出る杭は打たれるというか、既存の産業ごとの壁とか、産業の中の秩序とか、ヒエラルキーを壊すということに対して、拒否感がある社会なのは確かだと思います。
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