新内閣は、早急に信認に足る財政再建策と成長戦略を示せ

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 「財政出動は短期的な追加の景気対策にすぎない。中長期的に成長率を高めるには、規制緩和とか日本でビジネスがしやすくなるような戦略が別途必要」(岩本教授)だ。

平均名目成長率3%を揚げているが、成長戦略は人口減少が続く日本ではさらにハードルの高い難問だ。日本企業が逃げ出さず、外からの投資を呼び込むような戦略が必要になる。財政再建と合わせ税体系全体を見直す必要もある。

アメリカ流の市場主義の主張は最近、旗色が悪くなり、スウェーデン流の高福祉高負担論が流行のようだ。

しかし、日本は戦後、一貫してアメリカのまねをしてきた。医療改革に反対したボストンティーパーティを見ると、日本人は米国人のような自己主張からは程遠いが、選択の自由を謳歌してきたことは事実である。

一橋大学の田中秀明教授は「ハンディキャップのある人を除けば、国民皆が、労働と高い納税負担を要求される厳しいスウェーデン方式を日本人が本当に受け入れられるのか」と問題提起する。タダのランチはないのだから、負担と受益のバランスについて国民的な議論も必要だ。

(シニアライター:大崎明子 =週刊東洋経済2010年6月12日号)

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